トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > 週刊誌スクープ大賞  > 講談社エリートに何があったのか
週刊誌スクープ大賞

殺人容疑で逮捕! 講談社エリートに何があったのか……マンガ編集は「電通をはるかに凌ぐ長時間労働」

 私にも3人の子どもがいるが、3人目が生まれたのが40歳のときだったから、彼と同じような年だった。その当時は月刊現代という雑誌の編集次長(組織的には副編集長→編集次長で「編集長心待ち」ポストなどと揶揄されることもある)。

 幸い2人の両親が近くにいたため、何かあれば助けてくれるのをよいことに、毎晩午前様どころか、2時、3時に帰宅、4~5時間寝て家を飛び出していった。

 週に1回、子どもたちの顔を見ればいいほうだった。今でも何かあるとカミさんが愚痴ることがある。3人の子どもたちが通う小学校の運動会が毎年5月末の日曜日に行われていた。その日は、さすがに朝から見に行ったが、午後2時頃になるとそこを抜け出し、東京競馬場へ駆けつけ、ダービーにありったけのカネをつぎ込んだ。

 子どもたちが一番可愛い頃、父親が遊び相手にならなくてはいけないときに、仕事と称して浴びるほど酒を飲み、博打にうつつを抜かしていたのだ。

 3人の子どもを抱えて辛い思いをしているカミさんのことなど、思ったこともなかった、ひどい亭主であり父親だった。子育てに疲れ、家庭を顧みない亭主に対しての「怨み」が、カミさんの中には積もり積もっていったであろう。

 その後、フライデー、週刊現代編集長になり、ますます家庭を顧みなくなっていった。いま思えば、夫婦の間で何が起きても不思議ではなかった。

 マンガ編集者はもっと大変である。マンガ家は絵を描く才能はあるが、ストーリーを作れない作家が多い。

 それに若い人が多いから、担当編集者は、ストーリーを一緒に考え、絵コンテのアイデアを出し、原稿ができるまでマンガ家のところに寝泊まりすることもしょっちゅうである。

 女性マンガ家と編集者が結婚するケースが多いのは、こうした密な時間を共有するからである。電通をはるかに凌ぐ長時間労働があって、ようやく作品が生み出されるのである。

 朴容疑者の妻の実家は北関東で本人は大阪だから、4人の子どもを抱えた奥さんの苦労は並大抵ではなかっただろう。彼も懸命に支えた。家も会社から比較的近いから、子どもの幼稚園の送り迎えなどもしていたようだ。

 だが30代の終わりから40代始め、編集長になる日も近い彼の多忙さは想像に難くない。育児に疲れ、日々体調を崩していく妻を見ながら、彼にも焦りがあったのではないか。一部の報道に、妻が知り合いに、夫からDVを受けて悩んでいると話していたという情報があった。DVは大袈裟だろうが、子育てに疲れた妻と仕事の板挟みに苛立ち、2人の間に諍いがあったことは想像に難くない。

 そんなとき、ちょっとしたいい争いから悲劇が生まれたのではないか。これは私の経験から想像した妄想である。真相はまったく違うところにあるのかもしれない。

 この事件は、各テレビ局のニュース番組でもトップで報じられた。ワードショー然りである。そのいずれも容疑者の逮捕前の姿をカメラに収めていたり、インタビューを試みていた局もあった。文春によれば、昨年秋頃から情報が出回り、年末から「年明け逮捕」といわれていたというから、各社相当の取材体制を敷いていたようである。

 だが、文春が発売される前日に逮捕して、その姿を各社に撮らせるというのは、講談社OBだからというのではなく、いささかやり過ぎではないか。何度か任意で取り調べにも応じているようだし、逃亡する恐れはないのだから、もう少し人権に配慮したやり方があったのではないかと思う。『進撃の巨人』を世に出したエリート編集者だから、ニュースバリューがあるということなのだろうか。日頃、警察批判をしている雑誌を出している出版社だから、警察側にさらし者にするという「意図」はなかったのか。

12345678
ページ上部へ戻る

配給映画