滑稽すぎる! 戦争が生み出した本気の“おバカ珍兵器”『マンガ 本当にあった! 世界の珍兵器コレクション』
#本
「人生は近くで見ると悲劇だが、 遠くから見れば喜劇である」これは喜劇王チャールズ・チャップリンの言葉である。人間は必死に生きる。その“必死さ”は関係のない他人からすれば、滑稽に見えるのである。戦争という人類が起こせる最大の災厄の中においても、その“必死さ”が生んだ兵器群には、滑稽なものが多々ある。
宝島社から発売中の『マンガ 本当にあった! 世界の珍兵器コレクション』では、実在した滑稽な兵器を網羅。
表紙に登場するのは、ソ連の“時代遅れの長すぎた砲身”「オカ自走迫撃」。日本の“風任せ爆弾”こと風船爆弾「ふ号」、イギリスの“制御不能の自走式大車輪”「パンジャンドラム」の3つだ。ここだけを読んでも、これらの兵器がいかにバカげているかは理解できるはずだ。
しかし、戦争をしている当人たちは必死だ。兵器開発者たちも紆余曲折の苦悩の末、これらのバカげた珍兵器を世に生み出したのだ。本書では、珍兵器と共に、開発者の苦悩、葛藤、暴走を面白おかしくマンガで紹介されている点も魅力だ。
全部で8章に構成された本書は、バカげた珍兵器開発をめぐるエピソードが1つずつ語られる。1、2章ではトンデモ兵器を大量生産したナチスドイツ。3、4章ではイギリス。5章は、独裁国家ソビエト連邦。6章は、超大国アメリカ。7章は、兵器もガラパゴス化した我らが日本。そして、8章では、現代の世界中のトンデモ兵器が登場する。
ここでいくつか例を挙げよう。ナチスドイツの左右非対称航空機「BV 141」。ドイツ航空省は「単発エンジン、3人乗り、視界が360°確保できること」という条件の偵察機の開発を要求した。ブローム・ウント・フォス社の設計技師リヒャルト・フォークト博士が条件を満たす設計図を書き上げる。生まれたのは、世にも珍しい左右非対称の航空機だった。これほどまでに大胆な左右非対称というのは、歴史上、他に類を見ない。この「BV 141」は、実際に予算が計上され、製造された点はなんともナチスドイツらしい。
次に紹介するのは、イギリスの「パンジャドラム」。第二次世界大戦中、ヒトラーは占領したフランス北部沿岸の主要港湾部にコンクリートの防御壁、通称“大西洋の壁”の建造を命じる。イギリスは、上陸作戦と同時に壁の対策も講じる必要に迫られた。味方との距離が近く、誤爆の可能性が高いため、空爆での壁撃破は不可能である。そんな中、イギリス海軍中尉のネヴィル・シュートは対抗策として、ロケットの推進で回転する自走機雷「パンジャンドラム」を開発する。
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