「歴史を背負って生きる」ということの重さがガツンと響く! エリザベス女王の半生を描く『ザ・クラウン』
#海外ドラマ #すごドラ!
YouTube「Netflix Japan」より
アメリカ大統領選挙が終わって、はや1カ月。相も変わらずトランプ氏は世論をにぎわせ、一体アメリカはどうなっちゃうんだ!? と、世界中がハラハラしながら見守っている。個人的には、トランプ氏といえば、リアリティ番組で「お前はクビだ!」と言っていた時代の印象が強いせいで、いまだに次期大統領というのがピンとこないが、彼が歴史にどのような形で名を残すのか、悪名か、それとも意外にも名声を得るのか興味深いところではある。いずれにしても、間違いなくドラマ化なり、映画化なりされるでしょう。オバマさんも、もう映画が作られてるしね。それも歴史に名を残すひとつの形だ。
今回、なぜ歴史、歴史と繰り返しているかといえば、Netflixで配信中の『ザ・クラウン』にガツンとやられたからだ。歴史ドラマの題材として、今も昔も愛されているのが英国王室。長い歴史の中で英国王室にはエンタメにうってつけの逸材がゴロゴロ存在し、ドラマにおいても映画においても、秀逸な作品が多い。とはいえ、舞台は現在の自分たちとはかけ離れた時代のものであり、生活も文化もファッションも別物。だからこそ、歴史ドラマには一種のファンタジー性があり、どこかで一定の距離を保ったまま、その世界を見ることができる。しかし『ザ・クラウン』の主人公は、いまだ現役バリバリ、現在世界第1位の長期在位君主であるエリザベス女王なのだ。実在していても、感覚的には架空の人物と変わらない従来の歴史ドラマとは違い、今もその歴史を生きている人物が主人公になるだけで、これまでとは違った深みが生まれてくるのだ。もちろん、現在の英国王室について描かれた映画は過去に何作も製作されているが、ドラマという1シーズンで少なくとも10話は費やすものと比べると、インパクトはまるきり違う。
物語が始まるのは彼女が女王になる前の1947年からなので、時代物といっても近代史となるわけだが、シーズン1では25歳の若さで女王となった彼女が、その重責と人間らしさの狭間で葛藤し、苦悩しながらも女王としての道を歩み始める姿が描かれる。今でこそ堂々たる女王ぶりで、開かれた王室を築き上げた彼女だが、25歳の新米女王であるエリザベスは、今のイメージとはまったく違う。内閣の重鎮たちに翻弄され、自分の考えを貫くこともできない。開かれた王室への道はまだまだ険しく、家族と内閣の板挟みとなる彼女の姿は、中間管理職の悲哀にも通じて妙に親近感が湧いてくる。それはほかの人物にもいえることで、例えば彼女の夫フィリップ殿下は、トランプ氏もビックリな、なかなかの失言王ぶりで知られるのだが、そうした発言の背景にはこういった感情があったのかも……と思わされるくらい、登場人物の人間くさい描写がリアルなのだ。
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