桐谷健太の「ギギギ顔」は素敵だけど……フジテレビ月9『カインとアベル』視聴率上昇の怪現象
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一方、そのころ。
優くんはあいかわらず絶好調です。リゾート開発事業のプロジェクトリーダーとして大活躍しつつ、梓の「本当は仕事を辞めたくない」という気持ちを察しながら、美しい顔で切なげにダーツなど投げてみたりしています。新しくホテルのコンセプトを考えてみれば大絶賛。共同事業を手掛けることになるアメリカのホテル会社との事前交渉でも、Skypeでは相手が日本語でしゃべってくれるわ、日本語の資料を読み込んでくれるわ、とことん優しい世界が繰り広げられました。
阪神・藤浪晋太郎投手にクリソツな同期の女子・ひかり(山崎紘菜)は無条件に好き好きビームを出してくれるし、ホテル開発予定地に2人で前乗りした兄の婚約者・梓までもが「もしあたしと優くんが付き合ったとしたら……」なんて言い出しちゃう。「あ! 何言ってんだろ私」だって。そんで見つめ合っちゃって、優くんも「俺、梓さんのこともっと知りたいです」とか言いながらキスしそうになってしなかったり、丘から見渡す海面に沈んでいく夕陽が美しかったり、梓のバッグでは携帯電話が隆一からの着信でバイブしてたり……「うわぁー!」って、なりますよ、そりゃ。
このドラマの優くんの人生って、どう見ても、やっぱり、違和感がすごいんです。あらゆる価値観、あらゆる行動、あらゆる言動を周囲が歓迎し、丁重に扱ってくれている。まるで、みんながみんなこの「優くんにだけ都合のいい世界」を壊さない努力をしているように見える。優くんが建築家に「安く設計して!」といえば、そうしてくれるし、投資家に「100億円ちょーだい!」といえば、100億円くれる世界。これ、ちょっと引いて見れば、優くんひとりがピエロ扱いされて立ち回っているような雰囲気がビンビン漂ってるんですよね。
なんでそんな雰囲気になるかといえば、優くんが特別な価値観を提示したり、特別な技法や行動でもって物事を推進しているわけではないからです。ごく一般的な、普通の家で生まれた普通の男子並みの柔軟な思考をもっていて、それでいて自由で善良な23歳の若者らしい判断基準しか持っていないんです。よくも悪くも、頭の中が平凡なんです。
そういう平凡な若者を、いかにも特別な能力者であるかのように描くために、彼を囲む世界を、少し古臭くて、少し時代錯誤で、少し変な人物と設定で満たしている。まんま、映画『トゥルーマン・ショー』(1998)が物語の中でやったのと同じことが行われてる。この構造って、山田涼介にとっても、すごく損だと思うんですよね。わたしは次回以降も、桐谷さんの「ギギギ顔」だけ見られれば満足なんですが……。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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