『シン・ゴジラ』庵野秀明総監督ロングインタビューが「週刊新潮」に! 「経営のことも考えちゃうんです」と経営者の顔を見せる!?
続いてTVアニメ『超時空要塞マクロス』(82年)で“板野一郎、『風の谷のナウシカ』で宮崎駿と出会ったことに触れるも、インタビューのメインテーマと外れるためか、『トップをねらえ!』(88年)や『ふしぎの海のナディア』(90年)、もちろん『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(87年)にも触れることなく、話題は一気に株式会社カラーの設立へと飛ぶ。
カラーの立ち上げ当初の内情や、なぜガイナックスを辞めたのか、アニメ制作におけるビジネスモデルについて明かす庵野総監督。ここがメインテーマだったのだろう、なぜ従来の仕組みではアニメ制作スタジオに利益が回らないのか、『エヴァンゲリオン新劇場版』は製作委員会方式ではなく、カラーの全額出資で制作となったのかについて、紙幅を厚めにさいて熱く語っている。
さらに、アニメが成功しても、監督やクリエーターにはギャラが回らない、だからカラーは出資した。さらに今後もカラーは出版事業のほか、貴重な資料や当時の原画の散逸を防ぐため、特撮やアニメのアーカイブ事業にも取り組んでいくと語る庵野総監督。
その語り口はまるで、仕事のできる経営者、あるいはエリートサラリーマンのよう。夫人である安野モヨコの名作『監督不行届』(祥伝社)や、島本和彦をはじめとする庵野秀明を知る人々から語られるエピソードからファンが抱いていたであろう、「重度のオタクで、変人で常識不足なところもあって、常に締切ギリギリ、たまには締切も破るけれど、すごいものを作るスーパークリエーター」という庵野秀明像からはかけ離れており、正直ちょっと寂しく感じる部分もある。
だが、細かいところまでよく読むと、『エヴァンゲリオン新劇場版』は全額出資したが、17年2月から放送される『龍の歯医者』(NHK BS)は、アニメ制作はカラーが務めるものの、主幹事がNHKなのでNHKにお任せ、と早くも予防線を張っているし、『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』についても、順調に発行が遅れていることに対して謝罪っぽいコメントを残している。基本はあまり変わっていないのかも、とちょっと安心させてくれる(?)。
インタビューはカラーの設立10周年を記念して行われる展示会の宣伝をしつつ、“代表取締役も兼業しているので、会社の経営のことも考えてしまうんです。最近は「週刊ダイヤモンド」や「週刊東洋経済」も読むようになっちゃいましたから”という秀逸なオチで締めている。10年間も経営者をやっているのに、最近なのか……。
なお5Pに渡るロングインタビューであったが、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の制作進行具合、公開時期に関するコメントは一言もなかった。インタビューのメインテーマと外れるから聞かなかったのか、それとも原稿チェックで削られたのか。気になるところだ。
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