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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > 週刊誌スクープ大賞  > 芸能界のドンは控えめな男!?
週刊誌スクープ大賞

芸能界のドン・周防郁雄氏は控えめな男!? 気鋭のノンフィクション作家も、レコ大買収騒動には迫れず……

 ドナルド・トランプ氏が45代米大統領に就任することが決まった。最悪と最低の大統領選は、最低が制した。

 世界中のメディアが“衝撃的”“驚愕”という表現で、トランプショックの大きさを表した。トランプ勝利は、アメリカメディアの敗北をも意味する。ほぼすべてのメディアは、したり顔でヒラリー・クリントン支持を表明した。彼らは民意を汲み取っていなかったばかりか、メディア不信を増大させ、反発を招き、トランプ支持への流れに手を貸してしまったのである。

 日本のメディアだが、11月10日の読売新聞の1面に掲載された国際部長・飯塚恵子氏の冒頭の言葉が、メディアがいかに民意に無知であったかをよく表している。

「米国で、こんなに怒りや不満を抱え、『疎外』されていた人が多かったのか、と驚くばかりである」

 11月5日に放送されたNHKスペシャル『揺らぐアメリカはどこへ 混迷の大統領選挙』は、白人労働者層がアルコールやドラッグに溺れ、死亡率が増加するオハイオ州を取材していた。そこで検死官がこう語っていた。

「こんなひどいのは経験したことがない。ここは教育もなく仕事もなく、未来や希望もない人々の末路です」

 こうした人たちをヒラリーは「トランプ支持者はデプロラブル(惨め)な人々の集まりだ」と逆なでする言葉を吐き、自身の私用メール問題もあり、自滅していった。

 トランプ陣営の、選挙方法のうまさも際立っていた。陣営は、選挙によく行く有権者ではなく、普段はあまり選挙に行かないが現状に不満を持つ有権者を掘り起こし、トランプ支持を訴えて投票に行かせた。この手法は、日本の野党がすぐに見習うべきものであろう。

 少し週刊誌に触れよう。トランプ当確が伝えられたのは9日の夕方。午前中はまだヒラリー優勢と米メディアは報じていた。これほどの大ニュースだが、残念ながら文春、新潮は締め切りが火曜日で間に合わない。さぞかし臍をかんでいることだろうと思って、朝の新聞を見ると、文春の広告の中に小さいながら「『トランプ応援団』だ! 全員集合」という見出しがあるではないか。

 2ページの記事で、冒頭「泡沫候補が、ここまで来るなんて誰も思っていませんでした」というジャーナリストのコメントがあるが、これは「よく戦ったが、結果は」と、どちらにも取れる表現。

 クリント・イーストウッドやマイク・タイソン、デニス・ロッドマンらトランプ支持のコメントや、11月7日にトランプと会ったといわれる(新潮によると、石原慎太郎氏も同行する予定だったが、血圧が高く断念した)、亀井静香氏の訪米目的を語るコメントがあるが、これもトランプが負けてもいいような内容である。

 末尾の国際政治学者・三浦瑠麗氏のコメントの中に「大統領選の結果を見れば分かる通り、トランプ的なものを支持したのはアメリカの半分で、残りの半分の世界観とは完全に分断してしまったのも確かです」とあるが、これもどちらとも取れる。

 結びは「新大統領の前途は厳しい」。新大統領と書いてあるだけだから、トランプが勝った場合でもいいように、この表現にしたのであろう。苦心の跡が、そこここに見られる。

 だが、ザッと見たところヒラリーに関しての記事はないようだから、トランプ勝利の可能性を考えて記事づくりをしたに違いない。私も月曜発売の週刊誌をやっていたからわかるが、選挙やスポーツの結果を予測して記事を作ることは難しい。

 まして今回のような接戦の大統領選を予測し、記事を作ることは難しかったはずである(もっと広告を派手に打てばよかったのに)。

 さらに、先ほども触れたが、現代は「大どんでん返し」とトランプを予想していた。これは天晴れである。私の頃だったら「局長賞」をあげていただろう。

 予想せざるトランプ大統領誕生に、安倍首相は特使を出し、新聞報道によれば17日にも会談の予定だという。オバマが現職でいるのに失礼だと思うのだが、安倍の慌てぶりがよくわかる。

 各紙の社説も、トランプの手法は「露骨なポピュリズムそのものだ」(朝日新聞)、共和党はネオコンやティーパーティーなどと強調するうちに方向性を見失い、「トランプ氏という『怪物』を出現させた」(毎日新聞)、「米国政治の劣化は深刻である」(読売新聞)、と、日本も同じ惨憺たる状態であることを脇に置いて論じている。

 産経新聞などはこの機会に便乗して、安倍首相は「具体的な防衛力の強化策を講じることが不可欠」だと、さらに軍事力を増やせと煽っているのである。

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