『銀英伝』の田中芳樹が『進撃の巨人』『おそ松さん』を語る!? “編集者をだまくらかす”結果が名作に
「ウルトラマンシリーズ放送開始50年 特別企画:脚本家 金城哲夫」トークショーが3日、第29回東京国際映画祭内で開催された。
金城哲夫といえば、円谷プロダクション草創期に『ウルトラQ』『ウルトラマン』『快獣ブースカ』『マイティジャック』といった、後世に残る名作の企画やメインライターを務め、円谷プロ黄金期を作り上げたことで知られる。
今イベントは、その金城の功績を称えるとともに、今後先の未来につなげる新設の脚本賞「円谷プロダクションクリエイティブアワード 金城哲夫賞」PRの一環として開かれた。ゲストとして同賞の審査員を務める、『銀河英雄伝説』(以下、『銀英伝』)や『アルスラーン戦記』などの代表作で知られる作家の田中芳樹、劇団☆新感線の座付作家にして、アニメ『天元突破グレンラガン』などのシリーズ構成としても知られる中島かずきらが登壇しさまざまなトークを繰り広げたという。
このトークイベントを観覧したという40代男性がこう語る。
「売れるコンテンツの戦略という話題になったときに、田中さんへ『銀英伝』のときはどうだったかと振られたんです。すると田中さんは、『誰が読むんだろうと思いながら書いていました』『まさかこれが売れるのかと思って。戦略といわれると困るんですが、いかに編集者をだまくらかすかでして……』と、飄々と当時を回顧されてました」
さらに、田中は興が乗ってきたのか、最近話題の作品についても触れ出したという。
「田中さんは、『世の中何が受けるのか分からなくて、 “進撃の巨人”を……まあ野球漫画だと思っていたんです』と冗談交じりに話していました。さらに『おそ松さん』については、『もう答えようがなくて』と。大御所なのに、意外と最近のアニメ業界の動向もちゃんとチェックしているようでしたよ。それから、ヒーロー論として『長所ばかりを集めると道徳の教科書になっちゃうんです』と話して、例として“オーベルシュタインの犬”という冷徹・冷酷な人物が犬をかわいがるというギャップについて、『銀英伝』のエピソードを引き合いにも話していました」(前出の40代男性)
一方、中島は自身の脚本についてのことを語っていたという。
「劇団☆新感線の作品について、『演劇としては邪道かもしれないけど娯楽としては王道です。別に演劇の世界のことでは気にしませんと思っていて』と立ち位置を話していたり、『一番のお客さんが自分だというのをブレずに作ってきて今がある。自分が信じるものをエンターテインメントを出すと。それが自分にとってはマンガであり、アニメでした』と、こちらは熱さを秘めたコメントを寄せていました」(前出の40代男性)
イベントには、ほかにも実写映画『るろうに剣心』の大友啓史監督や、『リング』の脚本を手掛けた高橋洋らが真面目なトークをしていたそうだが、「田中さんは『小説家の言うことを鵜呑みにしないでください』と、締めていました」(前出の40代男性)と、さすが大御所らしい人を食った言い方もしていたのだとか。とりあえず、金城哲夫賞のグランプリにどんな脚本が選ばれるのか、楽しみなところだろう。
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