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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 映画『無垢の祈り』が強烈すぎ!!
平山夢明の人気短編小説を完全映画化!

幼女虐待を描いた映画『無垢の祈り』が強烈すぎ!! ベテラン監督が自主製作に踏み切った内情とは……

InnocentPrayer-main幼女虐待を生々しく描いた『無垢の祈り』。撮影時9歳だった子役の福田美姫が鬼気迫る演技を見せている。

 現在、渋谷のミニシアター「アップリンク」でロングラン上映が続き、密かに話題を呼んでいるのが『無垢の祈り』だ。人気ホラー作家・平山夢明の短編集『独白するユニバーサル横メルカトル』(光文社)に収録された同名小説が原作。10歳になる少女フミは小学校でイジメに遭い、自宅に帰れば義父からの執拗な虐待が待っている。母親は新興宗教に依存し、助けてはくれない。どこにも救いを求めることができないフミは、街で噂になっている連続殺人鬼に救いを求め、殺人現場となっている廃墟を訪ね歩く――。いかにも平山作品らしくハードさを極めた内容だ。幼女虐待を題材にしていることから、海外の映画祭でも上映困難だったという曰く付きの映画となっている。本作を自主製作という形で完成させたのは、壇蜜初主演映画『私の奴隷になりなさい』(12)を大ヒットさせた亀井亨監督。SM映画で人気を博したベテラン監督は、なぜ児童虐待を主題にした作品を自主製作&自主配給までして公開するに至ったのだろうか。

InnocentPrayer-photo34妻の連れ子に手を出す最悪の義父を演じたのは物まね芸人のBBゴロー。亀井監督に口説かれての出演だった。

――平山夢明さんと亀井監督のトークショー付きの上映を拝見しましたが、アップリンクはフルハウス状態で独特な熱気を感じました。『無垢の祈り』を自主映画として製作した経緯を教えてください。

亀井 10年前に独立UHF局で平山夢明さん原作の深夜ホラー『「超」怖い話』というオムニバスものを撮ったんです。とても好評だったんですが、苦情も局に届き、再放送は一度もされませんでした。平山さんの作品って、テレビ向きじゃないんですよね(苦笑)。でも、それから平山さんは僕のことを信頼してくれ、一緒に呑みにいくようになったんです。その後も映画会社に平山さん原作の映画化の企画を出し続けたんですが、「もう少し、表現を柔らかくできない?」と戻されるわけです。平山作品の面白さを表現するには、加減したものでは意味がない。中途半端な形になるなら映像化しないほうがいいと、企画を引っ込めることが何度も続きました。僕もここ10年くらい監督をやっていて、「綺麗事を撮るだけでいいのかな」と考えるようになってきたこともあり、商業映画ではまず不可能な“児童虐待”を題材にした『無垢の祈り』を自主映画としてやろうと決めたんです。商業映画の場合、問題が起きるとプロデューサーと監督が共同で責任を負う形になりますが、自主映画ならプロデューサーと監督を兼ねた僕がひとりで負えばいいわけです。

――亀井監督が配給も手掛け、3年がかりで劇場公開に漕ぎつけたわけですね。

亀井 そうです。3年前に平山さんに『無垢の祈り』の映画化のお話をさせてもらい、2年前に映画として完成させました。1年間ほど海外の映画祭に出品しようと動いたんですが、軒並みダメでしたね。日本の映画界で児童虐待ものがNGなように、海外でも扱ってもらえませんでした。規模の大きな映画祭ほどダメでした。唯一、上映できたのが香港アンダーグランド映画祭。アングラ映画祭のオープニングを飾りました(笑)。国内の映画祭は、平山さんが付き合いのあるカナザワ映画祭で今年9月に上映することができたんです。内容が内容だから、一般公開は上映館が限定されることは最初からわかっていたので、ミニシアター系の映画館と今も話をじっくり進めています。渋谷のアップリンクは僕の作品を以前から取り上げてくれていたので、「映倫を通していない作品ですが……」とお願いして、ロングラン上映してもらっています。平山さんも妥協しないで完成させた本作を気に入ってくれて、毎週のようにトークイベントをやっているところです。

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