幼女虐待を描いた映画『無垢の祈り』が強烈すぎ!! ベテラン監督が自主製作に踏み切った内情とは……
#映画 #インタビュー
■壮絶な少女時代を体験した女優をキャスティング
――亀井監督は『私の奴隷になりなさい』をヒットさせ、また『幼獣マメシバ』(09)や『ねこタクシー』(10)などの動物モノも数多く手掛けています。なぜ、自主製作までして児童虐待ものを撮ることにこだわったんでしょうか?
亀井 動物モノに関してぶっちゃけて言うと、僕は人間よりも動物のほうが好きだからです。あまり人間が好きじゃない(笑)。人間を撮るよりも動物を撮っているほうが楽なんです。SM映画にしても、『私の奴隷になりなさい』以前も石井隆監督の助監督や団鬼六さんの監督作品で監督補をしてきたんですが、僕はSMというプレイ自体よりもSとMという関係性に興味があるんです。平山さんは僕と違って人間好きな方ですが、平山さんの小説は倫理の壁を突き抜けた向こう側を描き、とても残酷でグロいけれど、書いてあることはすごく正論。信用できる文章なんです。そういう作品なら、自腹を切ってでも本気で映画化したいと思えた。僕は今47歳なんですが、あとどれだけ映画を撮ることができるかを考えたら、そろそろ自分が本当に撮りたいものを撮らなくちゃいけないなと。みんなが「面白い、楽しかった」と言ってくれるような映画はこれからも撮り続けるつもりですが、観た人の人生の軌道を変えてしまうような映画も撮りたいと思ったんです。
――虐待に遭う少女フミ役の福田美姫ちゃんが大熱演。本作が俳優デビューとなる芸人・BBゴローは迫真の演技。また、新興宗教にハマる母親を演じた下村愛さん(2015年に穂花から改名)は亀井監督作品にたびたび出演してきましたが、彼女自身も少女時代に壮絶な虐待を体験していたんですね。
亀井 下村愛さんにはそれもあって出演してもらいました。下村さんからは自叙伝『籠』(主婦の友社)を発表された際に、「こんな本を出したので、読んでください」と言われていたんです。自身が体験したことを、逆側の母親役として演じることは容易なことではなかったと思いますが、大変な過去を背負った彼女が母親役を引き受けてくれたことで、作品に深みが出たように思います。福田美姫ちゃんはスターダスト所属なんですが、スターダストとは動物モノの作品で付き合いがあり、僕が無茶苦茶なことはしない監督だということはわかってくれて、作品内容に理解のある子役として美姫ちゃんを紹介してくれたんです。もちろん彼女の両親の了解をもらった上での出演ですし、撮影中も法律に反するようなことはしていません。BBゴローさんは平山さんと一緒に呑む仲間で、5年以上前からの付き合いがありました。僕の作品は板尾創路さん、カンニング竹山さん、塚地武雅さんといった芸人さんに出演してもらうことが多いんですが、芸人さんは芝居がうまい。しかもBBゴローさんは形態模写をやっているので人間観察力に優れているんです。僕が「こんな感じで」と頼むと、ピッとひらめいて、サッと演じてみせる。題材が題材なだけに、僕が信頼できる人たちに出演してもらったんです。
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