AV女優人気は高くても、業界トラブルには興味なし? あの“ヤバい中国人漫画家”は「AV出演強要問題」をどう見る!?
#アダルト #中国 #インタビュー #孫向文
■中国でエロ事件が起こると、日本のAVのせいに!?
井川 日本では現在、AV出演強要問題が話題になっています。中国ではこの問題、どうとらえられていますか?
孫 今回、この対談の前に、中国最大の検索エンジン「百度」とか微博で調べてみたんですよ。そしたら、ほとんど話題になっていませんでした。中国人の中にはAV好きが多いんですけど、AV女優の人権問題については、興味がないみたいですね。あと、中国には人権がないでしょ? 今は何か事件が起こって、人権問題のことをSNS上で書くと、すぐに削除されたりするんですよ。「中国共産党は人権無視している」とか書いたら、即アウトで、警察が家に来たりしますよ。だから、AVの人権問題のことも、書き込みづらいといのもあるかもしれませんね。
井川 人権がない国っていうのは、すごいですねえ……。
孫 ところで、出演強要は、実際にAV業界で起こっているんですか?
井川 はい。今回、『モザイクの向こう側』の中でも被害事例を載せています。今後、業界は、こうした被害の起こらない環境づくりをしなきゃいけないですね。でも現状だと、「AV業界をクリーンにするため、こういう撮影はするべきではない」といった表現規制につながりそうな意見も出ていて、それは違うかなあと思うんですよね。例えば、SMがダメとか、レイプものがダメとか、本番はダメとか。女の子に無理やり嫌なことを強いるのはもちろんダメだと思うんですけど、女の子が出演の同意を得ているんだったら、別にいいんじゃないかとは個人的に思います。まあ、規制派の方々の意見をお聞きすると、こうした行為は日本の法に触れる可能性があるとのことで。法的な側面から言われると、表現もへったくれもない感じですが。
孫 漫画も表現規制の問題があるけど、僕はそれに反対しています。僕も井川さんと同様、表現は規制するべきではないと思います。ただ、日本のAVって、スカトロとかありますよね。あれは、中国人が見たらドン引きですよ。こういうAVを作っているのは、頭がおかしい人たちだって感じちゃいます。ああいうAVを出していると、日本のイメージが悪くなるんじゃないかと、そこが心配になりますね。
井川 まあ、日本人でもスカトロを理解している人は、ごく少数ですけどね(笑)。ああいうフェチ系のビデオって、スカトロに限らず、興味がない人からしたら理解不能なものですし、閉じられた輪の中で楽しむ分にはいいのかなあと思います。それがTwitterで上がったりして、興味もない人の目に触れたりするのは、ゲッて思いますけどね。
孫 中国だと、エロい事件が起こるじゃないですか。例えば、バスの中で女の子を痴漢したとか、射精して精液をスカートにぶっかけちゃったとか。すると必ず「この人は日本のAVを見すぎ」って言われるんですよ。この人が考えたことではなくて、日本のAVの悪影響を受けて思いついたっていう解釈です。
井川 確かに、日本のAVには痴漢モノがありますね。でも、AVが犯罪を誘発しているなんていうと、AV業界側から大反発が起こるでしょうね。例えば、痴漢欲求のある人が、痴漢AVを見て、その欲求を解消するという側面もあると思います。AVの氾濫する日本は、世界でもトップクラスの、セックス頻度の少ない国でしょ。AVだけがセックスレスの要因とは思わないですけど、映像を見ただけで満足しちゃう部分はあると思いますよ。
孫 でもそれを言ったら、日本の出生率を上げるためには、逆にAVは存在しないほうがいいっていう論理が成り立ちますね。
井川 まあ、そうなっちゃうのかな。実際、いまVRのエロ動画とかが話題になっていて、リアルな女の子が目の前に現れちゃうわけじゃないですか。そうなると、今後、ますますセックスレスになるのかもしれないですよね。
孫 リアルに『電影少女』の時代が来るわけですね。クリエーターとしては、表現の幅が広がって面白い時代になりそうですけど。
井川 孫さんにとっては、そうですね(笑)。
(構成=杉沢樹)
●「AV出演強要問題」に揺れる業界を徹底取材!
『モザイクの向こう側』
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