『ドラクエ』vs『F.F.』が実現? 『勇者ヨシヒコと導かれし七人』が挑む冒険
#ドラマ #山田孝之 #テレビ裏ガイド #てれびのスキマ
さらに異世界に飛ばされると、バカでかいモンスターにバカでかい武器で戦うモンスターをハントするような世界に足を踏み入れたり、勇者だけがどこかへ飛ばされ戻ってきたと思ったら、全身モザイク処理。モザイク越しには赤い帽子にモジャモジャのヒゲ、青いつなぎに赤シャツというどこかで見慣れた風貌になっているのがわかってしまうのだが、ヨシヒコは意に介さず興奮気味に言う。
「素晴らしい世界なんです。ちょいとジャンプするだけで、お金がどんどん入ってくる。苦労して魔物を倒さず、キノコやらカメを飛び越えて、柱にしがみつくだけでいい」
メレブが「それ以上言うな」と制するも、ヨシヒコはさらに続ける。
「カートでレースなどもできて、とてつもなく楽しい」
もう、やりたい放題である。
最後には仏が登場し、「主役の自覚を持てよ!」とヨシヒコを叱責。
「そういうチャレンジはさ、プロデューサーが苦しむだけだからさぁ」と愚痴ると、ムラサキが「でも『F.F.の村』は普通に行けたぜ」と疑問を挟む。
「その理由はゲーム通の人はわかっているから、ここでいちいち説明しません!」
『ドラクエ』のポップさと『F. F.』のスタイリッシュさは、相いれないものだ。だが、パロディドラマの中でなら、融合することができる。その世界にどっぷり漬かっていると気づかない、あるいはなかったものとされる違和感を、パロディはあぶり出す。だから世界観が違えば違うほど、そのズレが笑いを生んでいく。
『勇者ヨシヒコ』シリーズは、パロディにパロディを重ね、いつの間にか『ヨシヒコ』的としか言いようのない世界を作り出した。そしていまや、その『ヨシヒコ』的世界までも、パロディの対象にし始めたのだ。
深夜ドラマという予算の限られたフィールドで、どこまで自由に遊べるか――。そこへの戦いこそが『勇者ヨシヒコ』シリーズの冒険なのだ。
(文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/)
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