モノブライト出口博之の特撮自由帳 「こんなのライダーじゃない!」というにはまだ早い!『仮面ライダーエグゼイド』に見る平成仮面ライダーのデザインの魅力とは!?
『仮面ライダーW』(09年)
・放送前
「仮面ライダーらしさ」を具現化しつつも現代のセンスを注入し古くささを感じさせないデザインはさすがの一言ですが、「これキカイダーじゃん」と思われた方も多いのでは。何につけても「真ん中分け」がどうなるのか。
・放送後
左右で違う色の理由は二人で一人の仮面ライダーだったので、『キカイダー』じゃなく『バロム1』だった――という答え合わせよりも、ストーリーのテンポ感が良く、シリアスな場面もあるが全体的に陰鬱としないので楽しく見れる。序盤からフォームチェンジを多用したさまざまなアクションを目の当たりにすると、あれだけ気になった真ん中分けのデザインが格好良く見えてくるから不思議である。『仮面ライダーW』は第一話の時点でヒットの法則にハマったと言えます。
『仮面ライダーオーズ』(10年)
・放送前
ラスタカラーを基調とした印象的な配色に、頭、胴体、足を三分割している仕組みは今後の展開の幅広さを容易に想像させる好デザイン。仮面ライダーらしさを残しつつも、既存のイメージにとらわれない新しいライダーの登場を予感させます。前後数年にあった「なんじゃこりゃ!」感が少ない印象。
・放送後
放送途中で『仮面ライダー』シリーズ放送1000回を迎えるため、仮面ライダーのデザインから物語に至るすべてにおいて盤石の態勢が敷かれていることが判る第一話の面白さ。ここ数年のシリーズに比べると作品自体の話題性が概ね好印象なものだった気がします。変身アイテム「オーメダル」の爆発的ヒットが希代の名作であることを証明しています。
『仮面ライダーフォーゼ』(11年)
・放送前
ロケットをモチーフにした平成シリーズ2期「なんじゃこりゃ!」大賞受賞のデザイン。「ライダー、どこいってしもたん?」と思われた方も多いのではないでしょうか。ロケットを模した三角の頭、宇宙服のようなテカテカした白いボディ、腕や足に装着される巨大なロケットやドリル、ああ目眩が……。
・放送後
平成シリーズ2期の「動くととんでもなくカッコいい」大賞受賞。疑ってすみませんでした! 「平成仮面ライダー」シリーズで使用されるアイテム(ベルト、武器など)は一貫してメカニカルなガジェットがほとんどです。その点はもはや通例となっているのでツッコミは野暮ですが、「物語の世界観とガジェットのデザインの理由の不一致」を感じる瞬間もあります。しかし『フォーゼ』では、宇宙開発技術(詳しくは宇宙人との接触に対する人体への負担を減らす技術)を下敷きにしてアイテムが制作されている、というバックボーンを描くことによって、作品世界に登場するすべてに辻褄を合わせることに成功しているのです。奇抜さが目立つ『フォーゼ』のデザインも、宇宙開発技術の転用と考えれば大納得です。個人的には「仮面ライダー」全シリーズTOP3に入る好きな作品。
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