モノブライト出口博之の特撮自由帳 「こんなのライダーじゃない!」というにはまだ早い!『仮面ライダーエグゼイド』に見る平成仮面ライダーのデザインの魅力とは!?
・『仮面ライダーエグゼイド』の新しさと賛否について
『仮面ライダーエグゼイド』(以下エグゼイドとします)の作劇面においての新しい試みは、テーマにゲーム、登場人物の職業を医者、舞台を病院にしている部分です。過去の特撮ヒーローにも救急、レスキューなど医療に携わるヒーローはいますが、彼らのほとんどは「事件、事故、災害現場の最前線」に駆けつけ救助するのが役目であり、医療の本拠地である病院はどちらかと言うとサブ的な立ち位置でした。
物語の中心を病院にすることは非常に新しい印象を受けます。しかも、病院にはたくさんの医者がいますが、同じ医者でも小児科、外科、内科など担当分野がはっきりと分かれています。これが作劇面でどのように働くかと言うと、複数人の共闘中心ではなく、それぞれの思惑が入り乱れるストーリーが展開しやすい、ということ。同じ医療の現場で働くもの同士なのになぜ共闘と言い切れないのか。それは、テーマに「ゲーム」を用いているのが大きな理由です。
第一話の終盤に意味深な複数の人物が登場し、その中の一人の傍らにはエグゼイドのものと同型と思われる「ゲーマドライバー」があることから、これはもう100パーセント誰かが変身します。と言うか次回予告で複数の仮面ライダーが登場してましたし。
コンピュータゲームの醍醐味と言えば複数人でのプレイです。時に共闘し、時に熾烈なバトルを繰り広げる。なんなら共闘そっちのけでバトルの方が大いに盛り上がる場合もあります。
ゲームをテーマにしている以上この醍醐味は外せないものであり、共闘の他にバトルは必然と考えることができます。と言うか予告で“ライダーバトル”って言ってましたし。
ライダーバトルと言えば「戦わなければ生き残れない」でお馴染みの『仮面ライダー龍騎』(03年)では複数のライダーたちが入り乱れて戦う動機を「自身の願いを叶えるため」にしていましたが、エグゼイドでは戦う理由の外側を「ゲーム」とすることにより、いわばメタ的にライダーバトルの状況を作り上げています。ライダーのタイプも、アクション、RPG、シューティングと、それぞれ別ジャンルをモチーフにしていることもライダーバトルへの動線となっていると思われます。これまでのシリーズで扱わなかった新しい要素を大々的に投入しつつ、それが変化球ではなく芯を食った面白さ、物語への没入感に繋げている点はさすが『仮面ライダー』シリーズ、面白くない訳がありません。
さて、ここまでは第一話放送直後時点の設定面での新しさです。賛否両論が巻き起こったのは「仮面ライダーのデザインについて」に尽きます。
毎年、夏が終わる頃には次作の仮面ライダーの情報が届き「今度のライダーなんかすごいんだけど!」という話題で持ちきりになるのは、もはや恒例行事となっていますが、特に今年は「ざわつき方」が大きかったと思います。『エグゼイド』において特に目を引く部分は、ド派手でポップな蛍光色のボディと思われますが、蛍光色で言えば『仮面ライダーディケイド』(09年)は大胆にピンクを取り入れているので蛍光色がエグゼイドの特異な新しさ、と言い切るには惜しい気がします。
他のライダーとは決定的に違う点は、人間の顔に近い造形であることと、目(瞳)があることです。『エグゼイド』のテーマがゲームであることからキャラクター性の強いデザインになっており、これまでの仮面ライダーらしい意匠が見られません。
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