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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 本・マンガ  > フジ凋落を関係者が独白

“王者”はなぜ、玉座から引きずり降ろされた? 関係者が独白『フジテレビ凋落の全内幕』

 「“王者”が窮地に立たされている。」という書き出しから本書は始まる。ここでいう王者とは、フジテレビのことである。

 『フジテレビ 凋落の全内幕』(宝島社)は、視聴率の悪化と、業績不振が騒がれているフジテレビ及び、フジの巨大メディアグループを多角的に検証、全11章からなる一冊だ。筆を握るのはジャーナリストやノンフィクションライター、さらには、放送作家、元フジテレビの記者などといった様々な職種の面々だ。

 まず、第1章で1988年より社長として君臨、2001年以降会長の座に居座り続ける日枝久氏の長期独裁体制が抱える問題点をフリージャーナリスト中川一徳氏が指摘する。第2章では、フジの株主総会の異常性、第3章では、決算書からフジ・メディア・ホールディングスの経営状態にメスを入れている。

 また、第5章では、俳優・高岡蒼甫(現・高岡奏輔)のTwitterの書き込みから端を発した、11年の「反フジテレビ“嫌韓”デモ」を考察している。こういった比較的近年の事象を挙げているため、その当時の経験や感情を鮮明に思い出しながら読み進むことができる。

 当時を振り返ると、韓流ドラマ、K-POPなど、韓国のコンテンツがブームから一つのジャンルとして定着する過渡期だったように思う。国民的行事の『NHK紅白歌合戦』でも東方神起、少女時代、KARAの韓国グループ3組が出場していた。フジテレビだけに限らず、日本中の各局が、多かれ少なかれ、韓流ブームに乗っていたはずだった。

 高岡の「8(フジテレビ)は今マジで見ない」のツイートで、フジテレビと韓流が直結したのだろう。結果、嫌韓運動が反フジテレビへと移行していった。こういった流れを、デモの参加者の様子などを交えて考察しているのが非常に興味深い。

 第8章では、“カトパン”こと元フジテレビ女性アナウンサー、加藤綾子の退社及び移籍の話が出てくる。この章のタイトルは「エースアナもフジを見放した!?『カトパン』がフリー移籍先に大手芸能事務所を選んだ裏事情」である。フジテレビ凋落がテーマである本書において、一人のアナウンサーの進退について1章を使って取り上げられているのが面白い。“フジの女子アナ”というブランドは、同局において大きな意味を持つのだろう。

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