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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 織田裕二が奇怪!『IQ246』

織田裕二の奇怪なキャラはとりあえず置いといて……『IQ246』推理劇としての“爽快感のなさ”

 とはいえ、映像で証拠を押さえたので、あとは沙羅駆さんのひとり舞台。ズバババっと早乙女を追い詰め、「この犯罪、醜悪至極なり!」の決め台詞で一件落着となりました。

 先に、謎解きが面白ければだいたい許せちゃうと書きましたが、第1話を見た限りでは、あんまり許せちゃわなかったというのが正直なところ。まず、先に触れた奏子の首絞めのくだりが“天才の計略”っぽくない。『IQ246』というからには、私たちの想像の遥か上をいく天才っぷりを見せてほしいところで、思考についてのハードルは激高ですので、突っ込みどころはできる限り潰してほしいところ。

 それと、アリバイ工作の前提としての花屋の寿司職人殺しについて、動機も殺害の手際もさらっとしか説明されないので、本丸・早乙女が“有能な殺人者”に見えないんですよね。「完全犯罪の方法、教えます」のメールに、どこまで緻密な殺害計画が記されていたのか、よくわからない。今回、沙羅駆が事件を解決できたのは謎を解いたというより、早乙女の立ち振る舞いが杜撰だったことのほうが大きな原因に見える。ゆえに、主人公が頭脳で事件を解決したという爽快感に乏しい。

 そして何より、犯人に魅力がないんです。

『古畑』が、あそこまでヒットしたのって、たぶんそういうところなんだろうなと思うんですよね。木村拓哉が観覧車を爆破しようとした動機、沢口靖子が部屋の扉を締め切らなかった理由などなど、単に事件のトリックを解くだけでなく、犯人の行動にいちいちパーソナルな裏付けを付与して、殺人に至るまでの人生を浮き彫りにしようとする意図があったと思うんです。

『IQ246』の沙羅駆の決め台詞が、今後も「この犯罪、醜悪至極なり!」だとすると、犯人はみんな醜悪なだけの人間ということになるので、あんまりこのへんは期待できないかな。謎をこねる、という作業をドラマの真っ芯に置くとなると、それこそ世界中でオマージュ作品が作られてきているわけで、ハードルの高さは尋常じゃないですが……。

 とはいえ、おそらく今後も事件の裏で手を引いていきそうな「M」なるメール主の存在も示唆されました。「M」が本家『ホームズ』のモリアーティ教授にあたる人物だとすれば、そして死体マニアの観察医・森本(中谷美紀)が「M」だったら……と、けっこう楽しみな要素は提示されていましたよ。というわけで、また次回!
(文=どらまっ子AKIちゃん)

最終更新:2016/11/16 19:04
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