「ポケモンカード」とシゲルくんの話
#オワリカラ #偏愛文化探訪記
あれから20年。大人になった今、僕はポケモンカードの原稿を書いている。思い出話だけをしているわけじゃない。実は20年目の今年、僕はポケモンカードに復帰したのだ。
きっかけは、2月に発売された20周年復刻スターターだ。あの日、自転車を飛ばしてイトーヨーカドーで買ったのと同じパッケージで発売された復刻スターターを買ってから、またハマってしまった。
あの頃のようにパックを開けては一喜一憂し、友達(やってる人は2人しかいないけど)と、たまに対戦をしている。
20年ぶりのポケモンカードは、相変わらず興味深くて、戦略的な、面白いゲームだ。9月には、20年前の第1弾のイラストそのままの復刻ブースターも出た。かつてのカードはもう使えないけど、この同じ絵柄の復刻カードは、今のゲーム環境でも使えるように作られている。
懐かしさにほだされて、ポケモンカードに久々に触れてみるのに、こんなに最高のタイミングはない!
一緒にやろうよ、ポケモンカード!
そうそう、最後に、シゲルくんの話だ。
大学生になったころ、母親が地域のボランティア委員会みたいなものに入っていて、シゲルくんの家を訪ねたことがあった。シゲルくんが家族に対して暴力を振るう、というので母親のところに相談が来ていたのだ。
シゲルくんはあれから私立の高校に進学したがすぐに退学し、いくつかの高校に入っては辞めるを繰り返し、3度目の高校生を迎えていた。
その原因を、帰宅した母親はこんなふうに聞かせてくれた。
「シゲルくんの小学6年生の誕生日の前日に、お母さんが家を出て行ったんだって。それから少しずつ荒れていったみたい」
あぁ、あの時だ。
僕たちがポケモンカードで遊ばなくなった、あの時だ。
シゲルくんにとって、ポケモンカードに夢中だった1年間は、いい思い出だろうか? それとも、思い出したくない季節なんだろうか?
大人になった今、彼の中で折り合いがついているのなら、ポケモンカードの話がしたい。
●タカハシ・ヒョウリ
“サイケデリックでカルトでポップ”なロックバンド、オワリカラのボーカル。たまにブログでつづる文章にも定評あり。好きなものは謎、ロック、歌謡、特撮、漫画、映画、蕎麦。
HP:http://www.owarikara.com/
ブログ:http://hyouri-t.jugem.jp/
Twitter:https://twitter.com/TakahashiHyouri?ref_src=twsrc%5Etfw
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