フリースタイルバトルブームの“台風の目” ブラジル人ラッパーACEが語る、「エミネムの壁」と「果てなき野望」
#インタビュー #ACE
――現在、日本語ラップシーンはこのまま行けば爆発しそうな雰囲気もあって、そのためには「Grateful days」のようなスマッシュヒットが必要だ、という意見も多いですが、ACEさんはそのあたり、どう思われますか?
ACE いや、“エミネムを超えてやる”っていう覚悟のあるラッパーが、あと15人はいないと、変わらないんじゃないですか? スマッシュヒットごときを狙ってちゃ、ダメでしょ。結局、フリースタイルがはやっているっていったって、「日本のラッパー、誰知ってる?」って聞いても、答えられる人は実はそんなに多くない。やっぱり、エミネムくらい有名なやつが出ないと、何も変わらない。
――その覚悟を持っている人は少ない?
ACE 少ないと思います。長くやっている人ほど、その覚悟が削がれていくっていうか。現実を見れば、そう簡単には食っていけないし、業界のしがらみもある。もしくは、やってみたら意外と行けたけど、そこで行き止まり。「エミネムはアメリカで、日本と市場が違うもんなー」と、あきらめてしまう。そういったさまざまな要因にくじけず、「エミネムを超えるんだ」っていう覚悟と実力と行動が伴っている人がもう何人かいれば、変えられるんじゃないですかね。ここでドカーンと残しておかないと、10年後に「一発屋だった」って言われますからね。ここから先、戦国時代ですよ。
――ACEさん、別のインタビューで「シーンのこととか考えていない」とおっしゃられていましたけど、なにげにいろいろと考えていますよね。
ACE シーンのことは考えていないですよ。というか、先輩たちが頑張ってくれたから今があって、先輩たちがやらかしてしまったからできなくなったこともある。ただ言えるのは、団結する時だということですかね。城を建てないといけないんじゃないですか? きちんとお金の流れをつくって、マネジメントではなく、エージェントのような形でラッパーを守るような組織ができてもいい時期なのかなとは思います。HIP HOPというくくりでは、表には出ず、シーン周辺のビジネスで稼ぎたい人もいる。だから、城を造り、その城の中でラップするアーティストもいれば、HIP HOPに生きる人もいる。その城のラップアーティストに属するなら、『FSD』で盛り上がった今が前に出る時です。客目線でいうと、KICK THE CAN CREWみたいな、ヒットを続けるラップグループが出れば楽しいと思います。そういったユニットがボーンって出て、引っ張っていくっていう可能性はあるかもしれない。
――では最後に、エミネムを超えるのはもちろんですが、今後の目標を教えてください。
ACE フリースタイルもラップもタレント性も、全部ナンバーワンを目指してます。去年「フェスに出たい」って言っていたら、今年はフェスにたくさん出演できたので、今のところは作戦通りですね。今後もフェスに出続けつつ、12月7日にセカンドアルバム『LIGHT DOWN』、来年の上半期にサードアルバム、その後に新曲を出す予定で、その新曲はセルアウトとかではなく、皆の心に届くホームランを狙います。その曲で『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出たい。あとは『ワイドナショー』(フジテレビ系)で前園(真聖)さんの隣に山下として出て、ラップでコメントしたい(笑)。そういった意味で、僕はHIP HOPアーティストではないのかもしれません。ラップっていう歌唱法を使っている、ブラジル人ACEなんですよ。それが死んだ時に、HIP HOPアーティストになるのかもしれないですね。
(取材・文=石井紘人@hayato_fbrj)
●ACE DVD『ACEのフリースタイルマップ Vol.2』
発売日11月16日
価格:2,000円(税抜)
●ACE 2nd Album『LIGHT DOWN(ライト・ダウン)』
レーベル: 戦極CAICA
発売日: 2016/12/07(水)
品番: SGKC-012
価格: 2,315円(税抜)
ブログ <http://ameblo.jp/aceofficial/>
Twitter <https://twitter.com/ace0317?lang=ja>
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