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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.394

咲き乱れる若手女優たちのおっぱいとキスの嵐!“毛皮族”江本純子の異色青春記『過激派オペラ』

kagekihaopera03「君のために面白い芝居を書き続ける」というナオコの甘い言葉に釣られ、岡高は体を許すことに。すべては舞台のためだった。

 才能に対するリスペクトと恋愛感情が公私混同しまくった小劇場の1シーンを切り取ってみせた本作。毛布教はナオコを教祖にしたカルト教団のようにも思えるし、岡高の元彼はそれこそ「気持ち悪いレズ劇団」と吐き捨てる。でも、ナオコも岡高も他の劇団員たちも、みんな「これまでにない面白い芝居をやりたい」「演劇界に革命を起こしたい」という想いで一致団結している。それこそ、若松孝二監督が『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(08)で描いた全共闘運動に身を投じた若者たちのように怖いくらいに純粋である。部外者からバカにされればされるほど、劇団員の結束は固くなる。放水を浴びて、彼女たちはキラキラと輝きを発する。

 生まれたての劇団が恋愛感情と創作意欲とをシンクロさせることで熱狂の渦の中で初公演を成功させ、やがて恋愛温度の低下と共に劇団はあっけなく崩壊していく。舞台も映画も恋愛感情をエネルギー源にした一種の疑似生物であることが、本作を観ることでよく分かる。ナオコ、岡高、そして劇団員たちが惜しみなく青春を捧げた舞台『過激派オペラ』が無性に愛おしく思える。
(文=長野辰次)

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『過激派オペラ』
原作/江本純子『股間』 脚本/吉川菜美、江本純子 監督/江本純子 
出演/早織、中村有沙、桜井ユキ、森田涼花、佐久間麻由、後藤ユウミ、石橋穂乃香、今中菜津美、趣里、増田有華、遠藤留奈、範田紗々、宮下今日子、梨木智香、岩瀬亮、平野鈴、大駱駝艦、安藤玉恵、高田聖子 
配給/日本出版販売 R15+ 10月1日(土)よりテアトル新宿、29日(土)より大坂・第七藝術劇場、11月12日(土)より名古屋シネマテークほか全国順次公開 (c)2016キングレコード
http://www.kagekihaopera.com

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