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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.394

咲き乱れる若手女優たちのおっぱいとキスの嵐!“毛皮族”江本純子の異色青春記『過激派オペラ』

kagekihaopera02演出家のナオコ(早織)は新しく入った女優の岡高(中村有沙)にひと目惚れ。岡高のおばあちゃんの家まで付いていく。

 連日の熱い稽古が続く毛布教だったが、久々のオフ日。気分転換に田舎へ里帰りすることにした岡高にナオコも付いていく。海辺で暮らすおばあちゃんの家にスイカを買ってお邪魔する岡高とナオコ。入団してからこれまで主演女優と演出家という関係性を頑なに守ってきた岡高だったが、「セックスしたら、もっと芝居は面白くなる」とナオコに囁かれ、ついつい「一回だけですよ」と体を許すことに。海が見渡せる一軒家の和室で、昼間から激しく愛し合うナオコと岡高。男女のセックスは男が射精することがピリオドとなるが、女同士のセックスラリーにはピリオドがなく、お互いに満足がいくまで延々と続く。この一泊旅行がきっかけとなり、2人は相思相愛の関係に。ナオコの思惑どおりに、毛布教は絶好調の状態で公演初日を迎える。

 このレズハラ演出家・ナオコを演じているのは早織。『ケータイ刑事 銭形雷』(TBS系)や『帰ってきた時効警察』(テレビ朝日系)に出演していた小出早織時代から演技ができるアイドル女優と評されていたが、2010年に早織に改名してからは本格的な女優として演技の幅を貪欲に広げようと努めてきた。安藤サクラがボクサー役に挑んだ『百円の恋』(14)の主演オーディションを早織も受けていたが、一歩及ばずに妹役に回ったという経緯もあった。改名後、ようやく手にした主演映画が本作となる。井口昇監督の快作『まだらの少女』(05)や『ゾンビアス』(12)に主演した中村有沙を相手に、すっぽんぽんになっての体当たり演技に挑んだ。早織演じるナオコは、劇団員や客演女優、さらにはファンにまで節操なく手を出す最低最悪なアンモラル人間なのだが、彼女が演出する舞台は観客を惹き付けて止まない。観客はモラルを乞いたくて舞台や映画を観にくるわけではない。退屈な倫理観に縛られない美しく自由な肉体とむきだしの本音が奏でるカタルシスを求めて人々は集まる。江本監督の分身であるナオコは、みんなが求めているものを率直に提供しようとしているだけだ。ナオコも岡高もどちらも身勝手な自己チュー女だが、自分に正直すぎる憎めないキャラクターとなっている。

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