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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 映画  > ピンク映画の巨匠が語る50年の歴史

“ピンク映画の巨匠”が若松孝二、可愛かずみらと過ごした日々を語る『つわものどもが遊びのあと』

tsuwamono03シナリオタイトルは『ロリータ』だった『セーラー服色情飼育』の台本。ところどころに、渡辺監督が記したスケッチやメモが残されている。

井川「1993年に亡くなった大和屋竺さん(『荒野のダッチワイフ』の監督、アニメ『ルパン3世』などの脚本家として有名)のシナリオ集を編纂した際に、大和屋さんと付き合いのあったピンク映画の監督たちを訪ね、そのときに渡辺さんにもお会いしたのが最初でした。その後、僕は脚本家になり、渡辺さんとも仕事をするようになるんですが、仕事がないときも渡辺さんの自宅にお邪魔して、いつも映画の話を楽しく聞いていたんです(笑)。『たからぶね』は当初は国映製作で2011年ごろに渡辺さんが撮るはずだったんですが、国映が製作本数を減らしたことから撮影延期となり、せっかくだからと渡辺さんにピンク映画の歴史を語ってもらうことにしたんです。渡辺さんのしゃべりは話芸と呼べるくらい達者だったことに加え、渡辺さんが独特の世界観を持っていたことも大きかったですね。渡辺さんの代表作『夜のひとで』(70)などの作品にも通じるんですが、どんなに楽しい時間もやがて終わるときがくるという悲哀が感じられるんです。そして、自分もその例外ではないと。しゃべりは軽妙ですが、物事をすごく冷静に見つめている人でした。そんな渡辺さんだからこそ、ピンク映画全体を客観
視して語ることができたんだと思うんです」

 井川氏によると、渡辺監督にはピンク映画よりも予算が潤沢な日活ロマンポルノからのオファーもあったそうだが、自由度の高いピンク映画の現場を愛していた渡辺監督はこの話を断ったそうだ。メジャー作品とも一般映画とも異なる、インディペンデントな世界で輝きを放つ男たち女たちがいた。『つわものどもが遊びのあと』にはそんな彼らの残光が記録されている。
(文=長野辰次)

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渡辺護監督自伝的ドキュメンタリー
『つわものどもが遊びのあと 渡辺護が語るピンク映画史』

監督/井川耕一郎 撮影/松本岳大 録音/光地拓郎 製作・編集/北岡稔美 出演/渡辺護
前編は9月5日(月)~11(日)、後編は9月13日(火)~19日(月)、ラピュタ阿佐ヶ谷にてレイトショー上映 ※期間中に井川耕一郎監督とゲストによるトークショーあり 
http://watanabemamoru-documentary.com

最終更新:2016/09/05 12:20
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