フジ月9『好きな人がいること』ガバガバの“雰囲気悲劇”で視聴率下降止まらず……
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もはや1ケタ視聴率が当たり前になってきたフジテレビ月9『好きな人がいること』第7話は8.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。リオ五輪終了で各局のドラマが数字を戻す中、全話を通じて最低となりました。
初回から「あたしが恋だけしていればいい」「あたしの恋こそ最高の価値」「あたしの恋が世界を統べる」といった感じのアレを高らかに(能天気に)謳い上げていた同作ですが、中盤に差し掛かって一転、悲劇の色を帯びてきます。
主人公の美咲(桐谷美玲)が同居しているイケメン3兄弟の柴崎千秋(三浦翔平)、夏向(山崎賢人)、冬真(野村周平)のうち、次男の天才シェフ・夏向が、実は養子だったんですね。美咲と夏向がかなりイイ感じになった段階で発覚したので、物語的には大きく展開していくことになります。
しかし、これは兄弟の問題ですので、美咲にはなんの関係もありません。第7話は、主人公・美咲が関係ないお話となります。たぶん美咲と一緒にイケメンをはべらせて恋だけしていたかった少女淑女な視聴者は、途中で飽きちゃったと思います。
3兄弟の前に現れたのは、夏向の実母の娘・愛海(大原櫻子)。つまり、夏向の妹です。もともと柴崎家の店「Sea Sons」で働いていた夏向の実母は、産まれたばかりの夏向を捨てて田舎に帰っちゃったんだそうです。その実母が病気になっちゃって、血液型が珍しいので輸血が足りなくて治療が進まない。もう死にそう。で、実兄の存在を知った愛海が「血を~、血をくれ~」とばかり、尾道から湘南までわざわざやってきてたんですね。
愛海さん、初回からちょくちょく顔を出してましたけど、この間どこで何をしてたんでしょう。特に語られることはありません。あと、母親がどんな病気で、具体的にどんな治療が必要で、血液型がなんなのか、そのへんも特に語られることはありません。要するに、何も語られることはありません。このドラマは、「ホントの兄弟じゃなかったんか!」とだけ言っとけば、視聴者はなんとなく雰囲気で悲しい気持ちになってくれると思ってるんでしょう。舐められたものです。夏向がイスに座ってちょっと献血するシーンがあって、そのあと母親に治療が施されるっぽいシーンがあって、どうやら生き延びたっぽいシーンがあって、万事解決。舐められたものです。
尾道には夏向を追って美咲が迎えに来ていましたが、夏向が輸血をするかどうか、実母に「本当の息子です」と名乗り出るかどうか、その後、湘南に戻るかどうかの決断にも、美咲は関係することができません。なぜかといえば、美咲というキャラクターは徹頭徹尾「あたしが恋だけしていればいい」しか言ってないので、人生観や家族観、恋愛以外の世の中に対する価値観が描かれておらず、他人が人生の岐路に立ったとき、その決断に影響を及ぼすような行動を取ることができない存在なのです。だから、お気楽に尾道デートすることしかできない。ここ7話にいたり、ついに主人公としての立場が破たんしました。ドラマが“中身”を描こうとしたことで、逆に美咲の“空っぽ”が露見してしまった。ドラマも美咲も“空っぽ”のまま楽しいだけだったら、ずっと見やすかったと思うんですが。
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