感動は障害者を救えない? NHK『バリバラ』の挑戦
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テレビは障害者を感動的に描いてきた。それは『24時間テレビ』に限らず、『バリバラ』を放送しているNHKも例外ではない。
番組では、その歴史をNHKのアーカイブから紹介。1950年代、障害者は「不幸でかわいそうな存在」として描かれていたという。そして81年の「国際障害者年」には、数多くの関連番組を制作。障害者の社会参加が謳われ、けなげで頑張る障害者のイメージが作られていった。その結果、生まれたのが「感動ポルノ」だ。
それでは、具体的に「感動ポルノ」とはどんな番組だろうか?
『バリバラ』では、元柔道五輪代表候補で多発性硬化症の大橋グレースを主人公に「感動ドキュメンタリー『難病なんかに負けない!~これが私の生きる道~』」と題した「感動ポルノ」のパロディを制作。
ストーリーは、「大変な日常」「過去の栄光」「悲劇」「 仲間の支え」「いつでもポジティブ」という5つの“感動へのステップ”に沿って描かれる。
その間、たとえば、グレースは口からご飯を食べることができないため、胃に開けた穴にパイプを差し込み直接栄養を摂っているのだが、そこで「大変ですね」と問うスタッフに対し、グレースは表情も変えず「いや、意外と食べる手間も作る手間も省けるので、そんなことはないですけどね」と返答。だが、スタッフは「いや、そこは大変な感じでいきましょう」などとたたみかけるが、感動ポルノではグレースのこういったコメントは「放送されない部分」だと、テロップ解説が入る。
イギリスでは、こうした障害者を一面的に描く番組に対して抗議運動が始まり、90年代後半に公共放送BBCは「障害者を“勇敢なヒーロー”や“憐れむべき犠牲者”として描くことは侮辱につながる」とするガイドラインを定めたという。
司会の山本シュウは言う。
「誤解してほしくないのは、感動は悪くないんですよ。感動の種類をちゃんとわかってないと怖い」
「一番怖いのは無意識」
ちなみにグレースは、本家『24時間テレビ』にも出演。やはり前述の「感動へのステップ」をなぞるような「死も考える、苦しみ抜いた過去があった」といった感動調のVTRではあったが、ほかの多くのVTRとは一味違っていた。
『世界の果てまでイッテQ!』などで体を張っている森三中・大島が好きという彼女は、同じく『イッテQ!』に出演するNEWSの手越祐也と3人でパンスト相撲に興じ、「水かつらアート」「スローモーションアート」といった、番組名物企画に挑戦。笑いのあふれるものだった。
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