気が狂っている……! B級ヒーロー“犬溶接マン”とゴッサム・シティの変態的な仲間たち『HITMAN』
#マンガ #コミック
まず、犬の死体を溶接するクレイジーな能力には、多くの動物保護団体からお叱りの声をいただくに違いない。そんな犬溶接マンは、罠を仕掛けて自分で犬の死体を調達しており、必要に応じて予備も持ち歩くという人間っぽさ溢れる設定がおかしくもあり、私が好きなところでもある。
2つ目の問題は、犬溶接マン自身にある。先ほど紹介したコスチュームや、“犬の死体を溶接して相手を倒す”という設定に、無口という特徴も上乗せ。久しぶりに再会した仲間に、無言で犬の死体を溶接しようとするなど、気が狂っている。実写化した場合、無口で120分持つのか? 疑問である。
最後の問題は、彼の所属するヒーローチーム、セクション8の存在である。犬溶接マンのほかに、「シックスパック(酔って酒瓶で頭を殴るマン)」、「デフェネストレイター(窓から投げ捨てるマン)」「フレンドリー・ファイア(誤射マン)」「ブエノ・エクセレンテ(変態性欲マン)」「ジャン・ドゥ・バトン(フランス人マン)」「シェイクス(貧乏揺すりマン)」「フレムジェム(痰吐くマン)」と、聞いただけで気になるヒーローが勢ぞろい。『アベンジャーズ』のような華麗なヒーローチームとは、ほど遠い。
はっきり言って、イケメンは一人もいないおっさんの集まりだ。『エクスペンダブルズ』ばりに、かっこいいおっさんたちの集まりだったらまだよかったが、能力も相まって悪人面ばかり。
実写化しても奇天烈さが話題になるだろう彼らだが、バットマンたちの代わりにマフィアのボスや、最強のエイリアン、ゾンビ、はてはサンタクロース相手に戦いを挑み、日夜ゴッサム・シティの平和を守っている。
昨年12月にセクション8を主人公にした単行本が新たに発売されたり、シックスパック(酔って酒瓶で頭を殴るマン)と犬溶接マンの2人が旅に出る番外編が発売されるなど、アメリカ国内でも現在人気急上昇中。
『HITMAN』は、アメコミ初心者でもすんなりと入り込め、面白い作品であることは間違いない。コメディとハードボイルドが入り混じった同作品は、現在翻訳版が2冊発売されており、ボリュームとしても読みやすい一作だ。
(文=大野なおと)
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