『はじめまして、愛しています。』善人・江口洋介の“ウソっぽさ”の正体とは
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本当の母親ではない美奈ちゃんを「お母さん」と呼びながら「大っ嫌い!」と叫ぶしかないハジメの複雑な心理が描かれますが、信ちゃんにはそのへんの機微は伝わりません。おもむろにハジメを抱え上げると庭に放り出してしまいます。
「だったら出て行け! 施設に戻ればいいだろ!」
絵に描いたようなネグレクトです。ほとんど殺人行為と言っていいでしょう。これもう、お話終わっちゃうじゃん、と思いました。
ところが、意外なハジメの機転によってドラマは感動の展開を迎えます。家を閉め出されたハジメは児童相談所に堂本を訪ね、「手紙を書きたいから字を教えろ」と言い、「おとうさんとおかあさんへ」の手紙をしたためるのでした。
その手紙には、たった2行、こうありました。
「ごめんなさい」
「すてないでください」
堂本によれば、ハジメはもう一言、書きたかったそうです。でもその一言は、直接伝えることにしたんだそうです。
ハジメは、信ちゃんと美奈ちゃんをしっかりと見つめ、口を開きます。
「愛しています」
そう、はっきりとした口調で。
いや、あのね、泣けるんです。実に泣ける展開なんですけど、なんかすごく不穏な空気がドラマ全体を包んでいる気がするんですよね。特に今回、「愛」とか「幸せ」とか、そういう言葉が言葉として乱発されすぎてる。どんどん意味が希薄になってきてる。というか、今回はハジメの行動が混乱と解決の両方を担っているので、夫婦の発する言葉が上滑りして聞こえるし、行動がことごとくバカに見えるんです。
タクミ(速水もこみち)が、信ちゃんを評して「ウソっぽいまでに家族を大切にするノリ」となじった場面がありました。
こっちのほうが、しっくりくる見え方なんですよね。ドラマ全体が、愛と幸せを語るフリをしながら、のちのちこの夫婦を断罪しようとしているんじゃないかと邪推してしまうんです。
だって、あの遊川が言うんだもん。「5話以降は、この家族がどうなっていくか、ドラマとして自分で描いていかなければならない」って。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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