中国・河北省大洪水は人災だった? 政府の言論統制強化の裏で見殺しにされる人民たち
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こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。
7月26日、中国政府は、国内のインターネットサイトの表現に関する基準を変更することを発表しました。その結果、100件以上の機関サイトが「不適切な箇所がある」と判断され、現在、政治や経済に関する報道は、実質的に政府が検閲したものしか配信できない状態です。
政府による規制は当然、民間が運営するサイトにも適用されます。今年上半期には、計1,475件のサイトが「基準に反している」という名目で閉鎖され、1万件以上のサイトが特定の報道箇所を削除されています。「新浪」「鳳凰網」「捜狐」「網易」といった、中国の大手ニュースサイトは現在、機関サイトと同じく、自発的にニュースを取材・報道することを禁止されています。
政府が過剰とも思える報道規制を敷いている理由は、国内の経済悪化のほかに、災害が関係していると思います。7月23日、中国北部の河北省で豪雨を原因とする洪水により、105人が死亡、111人が行方不明になるという大惨事が発生しました。洪水の原因を地元当局は河川の決壊と発表しましたが、被害を受けた村の住民たちはダムの放流によるものだと主張しています。彼らの話によると、放流は通知が行きわたっていないにもかかわらず実行された模様で、インターネット上には「これは自然災害ではなく人災だ」といった書き込みとともに、犠牲となった子どもの遺体の写真などが大量に投稿されたのです。
もし住民の主張が事実ならば、今回の洪水被害は地元当局の過失が原因といえるでしょう。また、実際の被害規模は政府の公式発表よりもはるかに甚大であるようで、香港のある報道機関は、河北省以外にも、湖北省の天門市内の76の村、合計68万人以上が被害に巻き込まれたと報道しました。政府は、国内各地で発生した災害のごく一部しか報道しなかったのです。
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