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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 脳障害と生きる音楽家GOMAのいま
『失った記憶 ひかりはじめた僕の世界』発売記念インタビュー

高次脳機能障害と生きる音楽家・GOMAの覚悟「“紙一重でつながった”僕が果たすべき役割」

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――本書は主に、事故から約3年分(12年11月23日まで)の日記がまとめられています。あらためて読み返してみて、どうですか?

GOMA その時々で思っていることをそのまま書いているので、前後のつながりがおかしかったり、日増しにかみ合わなくなったりで、まとめるのに2年半もかかってしまいました。あらためて、自分の記憶はまだちゃんとつながっていないんだな、ということを再認識しましたね。

――最初の3年に絞ったのは、なぜでしょう?

GOMA 3年くらいたった時に、リハビリで脳が一段階クリアしたという感じがあって。で、お医者さんに聞いたら、やっぱり3年くらいでそうなる人が多いらしいです。3の倍数くらいで、ひとつ大きな進化があるって。

――映画『フラッシュバックメモリーズ』では、事故に負けず、見事復活を果たした“アーティストGOMA”のかっこよさが前面に押し出されていましたが、本書では、実は2度交通事故に遭っていたこと、妻の流産、金銭的な問題、そして怒りのコントロールがつかなくなる“デンジャラスGOMA”など、映画ではあまり触れられていなかったネガティブな部分についても、あけすけに記されています。

GOMA 映画の上映後「もうちょっと状況が知りたかった」という意見を多く頂いたんです。松江監督は音楽ありきで作ってくれたから、本は言葉で説明するいい機会だなって。だから、両方見てもらったら、より僕の状況をわかってもらえるんじゃないかと思います。

――映画もそうでしたが、本書では途中途中に妻・純恵さんの日記が差し込まれています。読者は、脳障害患者を抱えたご家族の視点からもGOMAさんの状況を知ることができますが、家族の日記を読むというのは、なかなかないことですよね。

GOMA 正直、グサッと突き刺さるようなものは、やっぱりありましたね。同じ家で同じ時間を過ごしているはずだけど、やっぱり僕と妻ではとらえ方が違うし、こんなこと考えていたんだなとか、こんなことがあるんだとか。でも、妻とは学生時代から一緒にいるので、いち早く僕の異変に気づいてくれたし、日々サポートしてくれて、本当に感謝しています。

――日本では高次脳機能障害に対する診断基準があいまいで、GOMAさんもさまざまな病院で何十もの検査を受け、最終的に高次脳機能障害だと診断されるまでに半年もかかりました。現在、日本にはこの障害を抱える人は約50万人いると推定されていますが、障害が目には見えづらいため、日常生活で苦労されている方も多いそうですね。

GOMA 徐々に社会的な認識が高まってきているようですが、まだまだ十分ではないですね。ちゃんとしたお医者さんに診てもらえるかどうかが鍵になる。大げさに言ったら、皮膚の病気なのに眼科行ってるとか、皮膚がただれているのに「目が悪いから、そう見えるだけ」と言われているようなもんですからね。こういう症状が出たらこういう病院に行ったほうがいい、というガイドラインを周知させる必要があるのではないかと思います。高次脳機能障害について書かれている病院やリハビリセンターのHPもありますが、もっと簡単にわかるものが欲しいですね。

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