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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > 週刊誌スクープ大賞  > 天皇陛下「生前退位報道」の真相
週刊誌スクープ大賞

天皇陛下の生前退位報道、宮内庁全面否定も「NHKに抗議せず」その深いワケとは?

 さて今最大の話題は、NHKがスクープした「天皇の生前退位」問題であろう。新聞をはじめ週刊誌まで挙って、もし「生前退位」するならば、どれだけのハードルがあるのかを細述している。

 だが、私は、このニュースが正真正銘のスクープなのか、そうだとすればなぜ今なのかという疑問がある。新聞の中には「天皇陛下早期退位望まれず」と報じているところもある。

 それについて比較的詳しく報じてくれているのが、週刊ポストである。この記事を今週の第1位に推したい。新潮の記事は付録である。

 まずスクープの真偽については、「情報源は宮内庁の最高幹部クラスかそれに近い筋だろう。相当の自信がなければこんな報じ方はできないし、実際、宮内庁の対応を見ていても“本気の否定”ではないことがよくわかる」(大手紙関係者)

 こうしたことからも、それが伺える。宮内庁は常日頃から皇室関連報道を細かくチェックしていて、事実と異なる場合には当該メディアに厳重抗議した上で、即座にそれを同庁のHPで公開するが、今回、宮内庁はNHKに抗議をしていないのだ。

 元宮内庁職員で皇室ジャーナリストの山下普司氏は、今回の報道の背景には様々な思惑がある可能性ありと前置きしてこう話している。

「天皇陛下が生前退位なさるには皇室典範や関連法の改正が必要です。しかし、憲法4条で〈天皇は国政に関する権能を有しない〉と定められているので、法改正が必要な案件について、宮内庁が“陛下のご意向が示された”ということを公式に認めると、憲法違反の恐れがあります。そうした状況の中で、宮内庁サイドが“公式には発表できないが、何とかして陛下のお気持ちを伝えたい”と考え、NHKに報道させるかたちになった可能性はある。否定したのに抗議しない対応も“宮内庁側とNHKとの間で事前に話ができていたのでは”と勘ぐられても仕方ない経緯でしょう」

 ポストによると、この数カ月間、宮内庁では「生前退位」をめぐって最高幹部が会合を重ねていたという。

「5月頃から風岡長官と山本次長という庁内のトップ2に、皇族の身辺のお世話などを担当する侍従職の最高幹部である河相周夫・侍従長と高橋美佐男・侍従次長、それに皇室制度に詳しいOB1人を加えた5人が、定期的に集まって検討を重ねていたといわれています」(宮内庁関係者)

 いずれにせよ、NHKの報道は宮内庁内部で進められた慎重な議論が下敷きにありそうで、それは他メディアの報道からもわかるという。

 14日の各紙の朝刊一面を見比べると、他紙はやや曖昧な表現になっているが、朝日新聞だけが見出しで「皇后さまと皇太子さまに伝える」と断定している。

「朝日新聞だけは、NHKのネタ元に近い、中枢近辺の相当確かな筋から裏が取れているということだろう。そうでなければ、あの書き方はできない」(皇室問題に詳しい大手紙OB)

 その裏付けとはこうだという。数年前から天皇、皇太子、秋篠宮は月1回のペースで皇居に集まって「三者会談」を行っており、皇室の未来などについて話し合いを重ねていたことが知られているそうだ。

「会談には基本的に宮内庁長官が同席しますし、皇太子さま、秋篠宮さまも信頼する官庁幹部には、そこで話題に出たことをお話しになるでしょう。メンバーは相当限られてくるが、この会談の内容を把握している筋が情報源となっているのではないか」(別の宮内庁関係者)

 それに7月13日は、官邸の事務方トップで杉田和博・官房副長官が翁長雄志知事との会談のために沖縄入りしていたタイミングだった。ということは官邸はこの報道が出ることを把握していなかったのではないかとポストはいうが、NHKの籾井会長と安倍首相の関係から見ればそれはあり得ないと思うが。

 だが、天皇の生前退位という考えは、安倍官邸に大きな衝撃を与えたに違いない。

 皇室ジャーナリストの神田秀一氏はこういう。

「82歳になった天皇陛下は03年に前立腺がんの手術を受け、12年には狭心症と診断されて冠動脈のバイパス手術を受けています。そうしたなかで、悠仁親王の世代には他に男性皇族が1人もいないという状況があり、皇室の未来を考える上では女性宮家創設といった課題が議論されて然るべきですが、棚上げされてきました。結果として、今回のNHKの報道後、菅官房長官が会見で女性宮家の創設の検討に言及するなど、棚上げされてきた皇室の未来に関わる議論が動き出そうとしています」

 そうした流れを作り出そうとする思いが天皇を取り巻く人たちにあって、今回の報道となったのだろうか。

 女性宮家創設には安倍首相は否定的であるが、今回のことを受けて、ならば皇室典範だけではなく憲法の「象徴天皇制」に手を付けることで本丸の九条改正にもっていけるのではないかと考えはしないだろうか。

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