【南シナ海仲裁裁判】敗訴の中国が徹底抗議! くまモンの政治利用に、「海南省フィリピン県になるべき」との暴論まで……
#中国 #フィリピン #領土問題 #東アジアニュース
南シナ海をめぐる中国の行動について、国連海洋法条約違反だとするフィリピンの訴えに対し、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は7月12日、中国が独自に設定した「九段線」に「法的根拠はない」との判断を下した。中国はこの判決を受け入れないことを表明しているが、同国のネット社会はお祭り状態になっている。
中国共産党の機関紙「人民日報」は、中国版Twitter「微博」でキャンペーンを展開。「中国の領土主権は、他人による仲裁を必要としない。中国(の領土)は少しも減らすことはできない」というメッセージ付きの地図画像を投稿すると、翌13日18時現在で約226万人がリツイートし、約9万人がコメントを付けた。その画像は、中国版LINE「微信(WeChat)」でも広く拡散されている。
この“お祭り”は、同国の著名人らも巻き込んで拡大を続けている。人気女優、范冰冰(ファン・ビンビン)をはじめ、あらゆる芸能人がリツイートを行う一方、その内容をメディアがウォッチ。まるで踏み絵のような状態になっている。
当然のように、どのコメントも中国を支持する内容だ。「戦争しかない!」「答えは2つしかない。南海(南シナ海)は中国のもの、あるいは南海とフィリピンが中国のもの」「南海は350万平米、フィリピンは29万9,700平米。欲しいのはどっち?」「海南省フィリピン県にするべきだ」など好戦的かつ威圧的なものが多く見られるが、中には過去40年にフィリピンと対戦したサッカーの試合結果を持ち出し「中国は9戦全勝で、45の得点を決めたのに対し、フィリピンは0点だった。それでどうやって人民解放軍に挑戦できるのか?」と挑発する者や、近年、中国での知名度が上がっている熊本県のゆるキャラ「くまモン」の写真に「僕はフィリピンが死ぬことを望む」などといったセリフを入れる者まで現れる始末だ。
また、「南海は絶対中国のもの!」と書いた札を掲げた写真を投稿する者もいたが、その中にはアフリカ系の人々も混じっていた。中国政府によると、90以上の国が中国の立場を支持しているが、そのほとんどは、中国が経済的支援をしているアフリカ諸国や、米国との関係がよくないロシアやイランなど。カメラに向かって札を掲げてポーズを取るアフリカ系の人々は、ビジネス上のつながりを盾に無理やり持たされたのか、あるいは、そもそも札に書かれた言葉の意味を理解していなのかもしれない。
ロシアと北大西洋条約機構(NATO)の関係悪化から新たな冷戦時代に入ったという人もいるが、新冷戦時代は、親中国と反中国に分けられるのかもしれない。もっとも、“冷戦”で済めばいいのだが……。
(文=中山介石)
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