都知事選・小池百合子候補に出版界から不安の声「不健全図書の審議が……」
#政治 #社会 #出版 #都知事選 #小池百合子 #表現規制
東京都知事選のさなか、サプライズで出馬表明した自民党衆院議員の小池百合子元防衛相を複雑な思いで見つめるのがグラビア誌の編集者で、「できれば女性議員には当選してほしくはない」と言っていた。その理由は「不健全図書」の審議にあるのだという。
「小池さんがどうというのではないんです。女性知事は避けてほしいんですよ。女性の政治家は多くがエロ雑誌、エロ漫画などにうるさいので、規制が強まる恐れがあるんです。世間から猛バッシングを浴びて辞任した(前知事の)舛添(要一)さんですけど、実のところ規制に関してはあまり関心が高くなかったのか、緩めだったんです。いま出版界は右肩下がりの大不況で、エロなしに食っていくことは不可能ですから、それを締められたらもうお手上げ。だから女性知事の誕生だけはしてほしくないです」
この編集者が担当するグラビア誌は、芸能ニュースや都市伝説、サブカルチャーなどの記事も充実しているが、「売りはあくまで女性タレントのグラビアやヌード、AV関係などエロ記事」だという。
ただ、東京都は青少年育成条例に基づき、自主規制団体とともに不健全図書の審議を行っており、ここで「性的感情を著しく刺激する」と判断されると書店の販売エリアなどが狭められるなどの措置があるという。
「ただ、行政当局によるわいせつの規制は、健全と不健全の境界線が曖昧で、感覚的な線引き。なので権力側が厳しくしようと思えば片っ端から不健全図書指定をすることも可能なんです」(同)
書籍の表現規制に関しては3月、大阪・堺市が決めた「有害図書類を青少年に見せない環境づくりに関する協定」に対し、日本雑誌協会と日本書籍出版協会が質問状を送付。堺市はコンビニエンスストアにポルノ雑誌が目につく形で販売されていることを問題視、成人雑誌の陳列棚に目隠しを取り付けるなど呼びかけたが、そもそも成人雑誌の規定が曖昧で、雑誌側が猛反発したわけだ。これと比べれば東京都の制度は毎月、個別タイトルを挙げて指定する形でいくらかわかりやすい部分があるが、いずれにせよその裁量が都知事次第となるわけだ。
「昔からエロ雑誌をやってきたベテラン編集者なんかは表現の自由を守れと規制に立ち向かう姿勢を見せることが多いんですが、今そういう編集者がかなり減ってきていて、ウチの編集部も30代の若い世代ばかり。そうなるとルールと戦うようなことはないので『寛容な都知事になってくれますように』と願うだけなんですよ」と編集者。
グラビア誌などエロ書籍を担当する編集者にとっては、オリンピック関連などの争点よりも気になるのがエロへの締め付け具合。編集者は「都知事選の立候補者の中に『規制緩和する』と言ってくれる人がいたら、我先にと投票するんですけどね」と話していた。
(文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)
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