“感動押し売り系”スポーツ番組に一石を投じる、浜田雅功『スポーツジャングル』の媚びない姿勢
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浜田だって『ジャンク』を10年も続けたのだから、いっぱしのご意見番のように振る舞ったっておかしくはない。だが浜田は今でも、スポーツとアスリートに対して一定の距離を置く。それがあるからこそ、アスリートいじりも決して馴れ合いにはならないのだ。なんでもかんでも「感動をありがとう」に持ち込みがちな昨今のスポーツメディアにおいては、むしろこの浜田のスタンスのほうがストレスはない。
浜田とアスリートの関係性でいえば、今年2月、イチローが浜田直筆のイラスト入りTシャツを着てキャンプインしたことが話題になった。添えられていたメッセージは「人生は42歳から始まるんやて」。そのメッセージの通り、42歳イチローの今季の活躍はすばらしい。
また、14年には、浜田がMCを務める関西のローカル番組『ごぶごぶ』(毎日放送)にイチローがサプライズ出演。キー局の報道番組であっても、めったに出演することがないイチローがノーギャラ(といわれている)で出演したのも、アスリートを決して腫れ物のように扱わない浜田だからできた偉業といえる。
フジテレビでは『すぽると!』が今年3月に終了し、代わって『スポーツLIFE HERO’S』が始まったが、この番組のコンセプトは「感動」だ。先ほども述べたが、スポーツを感動で訴求するのは、もうおなかいっぱい。だからこそ、『スポーツジャングル』のような番組があることで、アスリートも視聴者もガス抜きができるのだ。
『スポーツジャングル』が『ジャンク』時代と大きく変わった点があるとすれば、制作がスポーツ局からバラエティ制作センターになったこと。チーフプロデューサーは『さんまのお笑い向上委員会』『ホンマでっか!?TV』『ワイドナショー』などを手がける中嶋優一だ。
今のところ、バラエティ制作センターになった利点も弊害も、どちらも見えてきてはいない。中嶋プロデューサーは慶応大学ラグビー部出身として知られているだけに、今後もスポーツへのリスペクトを失わずに番組を続けてほしいと願うばかりだ。
また今後は、『ジャンク』時代同様、「アスリートの奥様」や「スポーツマスコミ」など、よりスポーツのマニアックでコアな部分を取り上げてほしい。なんなら、もっとマニアックでもよい。「スポーツの未知なる世界を探検」と掲げるからには、そこまで突き抜けるべき。浜田がいれば、視聴者もアスリートも迷うことはないはずだ。
(文=オグマナオト)
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