トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > カルチャー > 本・マンガ  > “全裸の写真家”のクレイジー紀行

アフリカを愛する“全裸の写真家”ヨシダナギのクレイジー紀行『ヨシダ、裸でアフリカをゆく』

 人気バラエティ番組『クレイジージャーニー』(TBS系)への出演で、一躍話題をかっさらった裸の美人フォトグラファー・ヨシダナギが、初の紀行本『ヨシダ、裸でアフリカをゆく』(扶桑社)を発売した。当時、ブログに書いていた出来事などを加筆修正して完成させた1冊で、いやー、ぶっ飛んでいる!

 ヨシダ氏といえば、「相手と同じ格好になれば、ぜったい仲良くなれる」という確信のもと、ブラもパンツも脱ぎ捨て、少数民族と同じ格好で写真を撮る、独創的な撮影スタイルで有名。その行動の根底にあるのは、幼い頃からのアフリカへの強烈な憧れであり、愛。アフリカ人はカッコイイ、アフリカは魅力的だということが、本全体を通してひしひしと伝わってくる。

 本書に登場する国は、2009年から訪れた、エチオピア、マリ、ブルキナファソ、ジブチ、スーダン、ウガンダ、ガーナ、カメルーン、チャド、ナミビア、タンザニア。アフリカといえば、なんとなくどの国も一緒のような気がしてしまうが、この本を読めば、どれだけ国全体やそこに住む人々に、個性があるのかハッキリとわかる。

 たとえばジブチ。あまり聞きなれないが、アフリカ東部、エチオピアのお隣にあり、“世界一暑い国”といわれているそうだ。そんな暑い国で、ヨシダ氏は山盛りのアイスを食べていたのだが、量が多すぎて食べ切れなくなってしまった。すると、ガイドのフセインが「僕も要らない。ちょっと見ててね!」と、アイスを片手で持った。次の瞬間、すれ違いざまにひとりの少年が絶妙なタイミングでフセインからアイスを受け取って、何事もなかったかのようにおいしそうに食べているではないか! 知らない人からすれ違いざまに食べ物をもらうなんて、日本では信じられない話だが、これはジブリでは当たり前のことだという。

 一方、フランス語圏のマリでは、毎日、イライラ。ジャイアン気質で、下心のある下ネタ連発の現地ガイド・シセは、どれだけヨシダ氏が嫌がっても、<ナギはオレのことを好きに違いない>という、おめでたいプラス思考。終始、発言がうざい上、足場の悪い道では、転ぶと危ないからとカメラバッグを持ってくれたハズなのに、自分がつまずいて小銭をばらまき、お金に群がった子どもたちに、カメラバッグを思い切り投げつけるという信じられない行動に。さらに、マリ滞在中にヨシダ氏は、あからさまな差別にも遭い、「もうヤダァァァァ!!!なんで、そういうことするの!!ホンットにやめてようぉぉ…」と、顔面の穴という穴から水をたれ流し、泣きわめいたことも。

 このほか、スーダンで約140匹のゴキブリ部屋に軟禁事件、内戦状態のチャドで兵士に捕まり、ガイドが自分の存在をかばうどころか大泣きして命乞い、ナミビアでの乾燥ウンコ飛ばし、もちろん、初めて服を脱いだ時のエピソードや撮影秘話などもたっぷり書かれている。

 日本人の多くは、アフリカのことをよく知らない。そして、興味も持たない。けれど、ヨシダ氏の目を通して描かれたアフリカは、キラキラと輝いていて、超カッコ良くて、時にはつらい目にも遭うけれど、爆笑の出来事の連続。今まで興味がなかった人にも、この国なら行ってみたいかも! と思わせてくれる。
(文=上浦未来)

●ヨシダナギ
1986年生まれ。フォトグラファー。幼少期からアフリカ人への強烈な憧れを抱き、独学で写真を学ぶ。2009年より単身アフリカに渡り、彼らの写真を撮り始める。アフリカの裸族とともに裸になったことや、その奔放な生き方や写真が評価され、さまざまなメディアで紹介される。現在は“アフリカ人の美しさ”や”アフリカの面白さ”を伝えるべく、講演会やコラム寄稿などの活動を積極的に行っている。写真集に『SURI COLLECTION』(いろは出版)がある。

最終更新:2016/07/02 16:00
ページ上部へ戻る

配給映画