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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 若林が引き出す、作家の素顔
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第127回

オードリー若林が『ご本、出しときますね?』で引き出す、作家たちの素顔

「私のルール」のコーナーで、彼女は「自分に湧き上がった感情、特に負の感情は頭の中で分析し、原形がなくなるまで研究して遊ぶ」というルールを発表した。

 学生時代、女生徒たちに嫌われていたセクハラ教師がいたという。確かに、自分の体をぎゅうぎゅうと押し付けてきたりする。当然、嫌悪感が押し寄せてきた。だが、村田は、そこで「本当にこれは正しい嫌悪感なんだろうか?」と立ち止まった。周りのみんながその教師のことを嫌い、セクハラだと言っているから惑わされているだけではないか、と。そんなことを分析しているうちに、嫌悪感がいつの間にかなくなってしまったというのだ。

 また、村田は作家だけで生活できるようになっても、週3ペースでコンビニのバイトを続けている。

 そこで「ちょっと、こっちこっち」と客に呼ばれ、「なんでしょう?」と近寄ると突然、ギュッと抱きつかれた。事件である。

 だが、村田は「気がつかないふりをしよう」と思った。気づいたら「セクハラっぽい雰囲気になっちゃうから」と。いや、「セクハラっぽい」というより、「強制わいせつ」である。さらに、おにぎりを陳列している際、別の客に急に足首をつかまれた。また気づかないふりをしていたら、ほかのお客さんが飛んできて「お前何やってるんだ!」と騒ぎになった。それを「セクハラみたいになっちゃった」とあっけらかんと言うのだ。まさにクレイジー。

 よく小説は小説として独立して読みたいから、作家の人となりは知りたくないという人もいる。もちろん、それは読み手の態度のひとつだ。だが、作家の人となりを知ることで作品が立体的に見えたり、それを手にするきっかけになることは少なくない。事実、若林の下には「出版業界のために(なる番組を)ありがとう」という声が届くという。

 だが、若林は出版業界のためにやっているわけではない。「俺が楽しくてやってる」と言うのだ。

 聞き手が楽しんでいるから、自ずとしゃべる方も楽しくなる。すると、それを見ている視聴者も楽しい。

「俺、とてもじゃないけど、(テレビで)本音言ったら仕事全部なくなっちゃう」と、“本音”をさらけ出す若林に作家たちは共感して、素顔を見せてくれる。

「未知の世界を知ることのはものすごい喜び」と村田は語っているが、まさにこの番組はそんな未知の世界を教えてくれるのだ。

 残念ながら、今週(6月24日)放送される回で第1シーズン最終回を迎えるが、まだまだ魅力的な作家が数多くいる。

 若林のライフワークになってほしい番組だ。
(文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/

「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

最終更新:2019/11/29 17:39
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