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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 古舘伊知郎に学ぶ、しゃべりの極意
週刊!タレント解体新書 第46回

古舘伊知郎に学ぶ、3つのしゃべりの極意 日本テレビ『おしゃれイズム』(6月12日放送)を徹底検証!

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 12年間のブランクなど、みじんも感じさせない。むしろ、12年間の鬱憤を叩きつけるように言葉をまきちらしている。もちろん、古舘伊知郎のことだ。この3月で『報道ステーション』(テレビ朝日系)のキャスターを降板し、最後の放送では7分46秒にわたって台本なしの一人しゃべりを展開。それを皮切りに、『ぴったんこカン・カン』(TBS系)や『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』(ニッポン放送)に立て続けに出演し、まさに立て板に水、これぞ古舘といえる真骨頂を発揮している。

 くしくも、テレビ朝日でアントニオ猪木とモハメド・アリの死闘が繰り広げられた6月12日、その裏番組の『おしゃれイズム』(日本テレビ系)に出演した古舘が、またすごかった。おそらく番組史上、これほどしゃべったゲストはいないだろう。一人というにはあまりにもおしゃべりすぎるが、二人というには人口のつじつまが合わない、惚れ惚れするようなハイスパートトーク。トークバラエティ番組における古舘の強さを、まざまざと見せつけた30分間であった。

 では具体的に、古舘の話術のどこがすごいのか? ここでは、3つのポイントに分けて紹介したい。もちろん古舘は天才であり、簡単に真似ができるような代物ではないが、そのエッセンスを盗むことは可能なのではないか? 普段、おしゃべりが苦手だと悩んでいる方にとっても、有益なものとなれば幸いである。

(1)上げて落とす、は基本である

 おしゃべりの基本は、上げて落とす、である。あるいは、緊張と緩和といっていいかもしれない。特に年齢が上がると、人はしばしば自慢話をしがちだが、他人の自慢話ほどつまらないものはない。上げたら必ず落とすように心がけたい。たとえば『おしゃれイズム』の中では、ニュース番組を真面目に原稿を読むものではなくカジュアルなものにしたかった、という古舘は、こんな話をする。

<「(堅苦しく)国会対策委員長会談が開かれました」っていうのは読んでる感じになるから、そうじゃなくて。「(カジュアルなしゃべり方で)いやね。国会の中も広いですけど、皆さん。その中でね、一室ですけど、こういう会議が開かれた。これたいへん、消費税をアップするのか据え置くのかに関して重要な会議なんですよ。今日の午前中からあったって言うんですけど、ご覧ください」とかやって、カジュアル化したつもりになってるんだけど。聞いてるほうは、僕が流暢にしゃべるもんだから、やっぱり、読んでる(って思われる)……つまり、俺がうますぎるんですよ>

 特にこのカジュアルなしゃべり方の部分は、古舘の話術の巧みさもあって、それだけで客席からは感心したような声が起こる。これで終わると、ある意味で自慢話で終わってしまうわけだが、最後の「つまり、俺がうますぎるんですよ」で自画自賛している自分を演出することで落としている。自分を上げたままで終わるのは確かに気持ちいいかもしれないが、聞いているほうはたまったものではない。上げたあとは落とす、というのは鉄則である。

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