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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 『貞子vs伽椰子』の最凶演出術!
“コワすぎ”の人気監督がついにメジャー進出!!

『貞子vs伽椰子』白石晃士監督が語る最凶演出術!「一線を越えた光景を僕自身が見たいんです」

shiraishi_koji01これからの日本映画を面白くする男・白石晃士監督が『貞子vs伽椰子』でメジャーシーンに登場!

 Jホラーの名を世界に轟かせた2大最凶キャラクター、『リング』シリーズの貞子と『呪怨』シリーズの伽椰子が競演する『貞子vs伽椰子』。このタイトルが角川映画から発表された際、あまりのキワモノ感に笑ってしまった人は少なくない。だが、この企画を映画化するのが白石晃士監督だと分かった瞬間、期待度はマイナスからプラスの限界へとグ~ンと針を振り切ってしまった。白石監督こそ、近年の日本映画界でもっともメジャーシーンへの進出が期待されていた逸材。インディペンデント映画の傑作『オカルト』(09)、オリジナルビデオ『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズ(12~)など新次元のホラー作品を次々と放ち、今もっとも勢いのある気鋭の監督なのだ。

 白石監督にとって初メジャー作品となる『貞子vs伽椰子』は、ここ数年は尻すぼみ気味だった『リング』シリーズと『呪怨』シリーズの本来の怖さを取り戻した上で、2大キャラを激突させるという先が読めない破天荒さ、そして白石監督ならではのエンターテイメント性が前面に出ている期待を裏切らない面白さ! 念願のメジャーデビューを果たした白石監督に人気2大キャラを巧みに操った作劇術について語ってもらった。

sadako_kayako01霊媒師コンビの経蔵(安藤政信)と珠緒(菊地麻衣)が現われ、事態は予測がつかない方向へと転がっていく。

──『貞子vs伽椰子』、サイコーに怖くて面白かったです。本作のオファーが来たときの率直な感想を教えてください。

白石 企画を聞いた瞬間、もう興奮しました。「えっ、本当ですか?」と。思わず椅子から立ち上がる勢いで、大きな声が出てしまった(笑)。ホラー好きな人間にとって、こんなに楽しみな企画はありません。それにこれは僕向きの企画だなと思いました。すでに存在するキャラクターたちを戦わせるという構図を娯楽作品としてお客さんに見せるというもの。多分、今の日本でいちばん僕に向いている企画じゃないですか(笑)。

──『コワすぎ!』シリーズの一挙上映がニコ生で大人気を集めるなど、白石監督が新しいホラーファンを開拓してきたことが認められた格好ですね。

白石 そうですね、『コワすぎ!』シリーズの成功は大きいと思います。あのシリーズを始める前までは、僕がどういう傾向の作品を撮っている人間なのか分かりにくかったんでしょうね。有名な都市伝説を新しく料理し直した『コワすぎ!』シリーズが評価されたことで、僕のやろうとしている傾向を何となくですけど理解してくれる人が増えて、それが今回のオファーに繋がったんだと思います。今回のプロデューサー陣の中にも僕の作品を観てくれていた人がけっこういて、プロデューサー陣の満場一致で僕が選ばれたと聞いています。素晴しいプロデューサー陣です(笑)。

──初めてのメジャー作品ですが、白石監督らしく思いっきり振り切った作品に仕上げていますね。

白石 今回はお祭り企画なんですが、もちろんお祭りらしく盛り上げ、でも長年ファンから愛され続けているキャラクターたちを扱うわけですから、マジメに作らなくちゃいけない。異なる人気シリーズのキャラクターを対決させて、楽しければそれでいいじゃんで済ませるのは違うなと思ったんです。そこは僕もプロデューサー陣も合致していました。なので、普段どおりにやれたのが良かったですね。

──最初に『貞子vs伽椰子』の簡単なプロットだけ渡されたと聞いています。

白石 僕が参加する前に、企画段階で別の方が書いたプロットがあったんです。貞子と伽椰子が対決するという設定は同じなんですが、僕が入ってからどう展開していくかを考えて、プロットを書き直していきました。それからプロデューサーたちと話し合いながら、固めていった感じですね。脚本づくりする上でのポイントは、2大キャラクターの良さをどう抽出して、バランスよく配置するかでした。僕はこの手のバランスを取る作業が好き。王道的な、みんながいいと思うようなバランス感覚ではなく、「えぇ、そう来るの?」みたいな少し崩したバランスの取り方が僕は好きなんです(笑)。

──白石監督ならではの、王道とは異なる“裏王道”的なストーリーになったわけですね。

白石 ハハハ、自分ではすごく王道的なものを作ったつもりなんですけどね。でも、そんなふうに観ていただいても全然かまいません(笑)。

──物語の前半は、まず貞子由来の“呪いのビデオ”が登場。女子大生の有里(山本美月)と夏美(佐津川愛美)が、夏美の両親の結婚披露宴のビデオテープをDVDにダビングしようとすると、紛れ込んでいた呪いのビデオを再生してしまう。80~90年代に青春時代を過ごした世代にとっては、喜びも憎しみもVHSテープに記録されているという郷愁をそそる幕開けですね。

白石 VHSテープは絶対に出そうと決めていました。僕自身もVHSテープには思い入れがあるので、VHSテープやVHSデッキという存在があったんだよということを映画の中に記録しておきたいという気持ちがありました。でも、それ以上にあったのが、本作は若者向けの作品だという意識でした。若い世代はあまりVHSテープやVHSデッキに触れたことがないと思うんです。あったとしても幼い頃に親が観ていたのを一緒に何となく観ていたとか、そのくらいの曖昧な記憶しかない若者が多いんじゃないですか。それでDVDで育った若い世代にとって、何となく不思議で不可解なものとして出そうと。ビデオテープって、ミステリアスであり、でもリアリティーのあるものとして感じてもらえると考えたんです。

──白石監督は、かつて中村義洋監督や松江哲明監督も下積み時代に経験した『ほんとにあった呪いのビデオ!』シリーズに参加していましたよね。そういった監督のバックグランドも感じさせます。

白石 そうですね。作品って単体で成立しているわけではなく、作った人間のそれまでの仕事ぶりだとか、人生の積み重ねから生み出されたもののほうが深みが出ると思うんです。マジメに作品を作っていると、過去の要素は当然のように入ってきますし、そうなることで作品としても強度を増すんじゃないでしょうか。

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