トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 月9『ラヴソング』なぜ史上最低?

福山雅治、轟沈──!フジテレビ『ラヴソング』は、なぜ“史上最低の月9”になったのか

 前回、第9話はストーリーが完全に破たんしているにもかかわらず、そこそこ泣けました。それは、さくらのガンが、施設で一緒に育った3人に同じ重みで降りかかった悲劇だったからです。この3人がお互いを自分のことのように考えていたからこそ、その感情のぶつかり合いに重みが出たんです。そこに、3人の「今まで」が現出したんです。親のない子たちだけが共有しているであろう「断ちがたい絆」が見えたんです。だから泣けたんです。

 それも放り投げちゃうんだもんなぁ。これ、つらいですよ。案の定ワケのわからない空一はゾンビと化して「さくらー! さくらー!」と夜の町をさまよい歩くしかありませんでした。

 で、もうあとは、ちゃちゃっとアレしてハイ! って感じですね。まったく泣けない。いろいろ飲み込んで、あとは泣く準備だけしてたのに、泣けない。あー。

 だいたいさー、第1話でさー、タバコ吸わせたりバイクの運転や言葉遣いが乱暴だったり、さくらというのは「吃音だけど、かわいそうじゃない」「同情されたくない」キャラクターという設定が打ち出されていたわけですよ。演出も脚本も「悲劇ではありません」という部分だけは非常に強くアピールしていた。それが終わってみればガンだもんねー、もうね、何を信じていいのやら。

■無駄なキスシーンがすべてを壊した?

 お話としては、やっぱり分水嶺は第4話だったと思うんです。3話のクライマックスのライブまでは実に丁寧に作られていて、放送前にさんざん「キモい」と指摘されていた藤原さくら(20)と福山雅治(47)の恋愛についても「陽性転移」という専門用語を持ちだすことで、展開しそうになっていたんです。「陽性転移」の反対語はたぶん「本物の恋」でしょうから、ドラマチックな匂いがしていました。

 推測ですけど、あくまで推測ですけどね。

 4話の空一とのキスシーンが最初のイレギュラーだったんじゃないかなぁ。テコ入れのために、4話のCMにキスシーンを挿入する必要があったんじゃないかと。もともとは、3話のライブにスカウトに来ていたグリスターミュージックと契約する話で、それを、なんとか4話のうちに2人にキスをさせなければならなくなり、きっかけ作りのために反故にしてしまったんじゃないかと。

 そう考えると、いろいろ収まるんですよね。グリスターの取締役・桑名(りりィ)は神代と元恋人・春乃の過去についていろいろ知っている人物でした。つまり、桑名の出番が減れば減るほど、春乃について説明される機会が減るということです。この桑名が、あっという間にいなくなっちゃったことで、結局最後まで春乃については説明不足のまま、ドラマの中でなんの役割も果たせませんでした。

 神代は春乃とさくらを重ねている節がありましたので、春乃について理解が進まないことには、神代のさくらに対する執着にも説明がつかなくなります。夏希の別人格が登場してさくらを攻撃しだしたときも、春乃と神代に何があったのか説明されていなかったので唐突に見えました。

 シェリル(Leola)も、もしかしたらグリスターのトップアーティストだったのかもしれませんね。たとえば映画『ドリームガールズ』(2006)のジェニファー・ハドソンとビヨンセみたいなライバル関係として登場する予定だったのかもしれない。まあ、今となってはどうでもいいですけど。

 CMのためにストーリーを壊すって、そんなことあるのかって常識的には思いますけど、ありそうなのが今のフジテレビなんですよねえ。推測ですけど。

123
ページ上部へ戻る

配給映画