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テレビ東京『世界ナゼそこに?日本人』に“大量の統一教会信者”問題はナゼ起こったか

テレビ東京『世界ナゼそこに?日本人』に大量の統一教会信者問題はナゼ起こったかの画像1テレビ東京『世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝~』番組サイトより

 番組がカルト団体に乗っ取られている! そんな声まで聞こえてくる。

 テレビ東京の人気番組『世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝~』で、やたらと韓国の宗教団体・統一教会(世界平和統一家庭連合=旧・世界基督教統一神霊協会)の信者が出演している問題で、全国霊感商法対策弁護士連絡会(以下、連絡会)が、局側に出演の経緯などについて質問状を送っていたことが伝えられている。

 同番組は、世界各地の辺境などで暮らす日本人を取材するドキュメンタリー番組だが、「週刊新潮」(新潮社)が番組内の出演者として統一教会の女性信者ばかりが取り上げられ、連絡会が強く非難していることを報じている。連絡会はテレ東の番組を「虚偽の事実を織り交ぜた物語を創作して放映している」と“ヤラセ説”まで持ち出し、これが統一教会の「宣伝材料」になっていたと指摘。

 これに対し、テレビ東京は「取材の過程で信者だと把握して放送した回もあったが、番組内容に虚偽はない」と、信者の関与は認めつつもヤラセは否定。ただし、局内からは「怪しいブローカーを使っているディレクターが多い」という別の問題点が聞こえてきている。

 申し入れによると、今年3月放送分に出演した、ウクライナに住む日本人女性は、教祖・文鮮明の指名により結婚。同居するウクライナ人夫も統一教会信者だとされる。このほか、過去に中米コスタリカで48歳の高齢初出産をした日本人妻が統一教会の宣教師であることや、西アフリカのブルキナファソで4人の子どもを育てる日本人シングルマザー、中東ヨルダンで難民のためのボランティア活動をする日本人女性もまた信者なのだという。とても偶然とは思えない話で、連絡会は番組が「統一教会信者であることを意図的に秘匿していた」と糾弾。

 これについて、テレビ東京の別の番組プロデューサーに話を聞いたところ「ウチの局と統一教会が肩を組んでいるわけではない」と話したが、信者が多数出演していたことの経緯には心当たりがあるという。

「問題の番組には関わっていませんから確かなことは言えませんが、ウチは全国ネット局と比べて予算が少なく、スタッフの数も少ない、いわばローカル局。今回のような番組だと、テーマに沿った一般出演者を探すのに外部の力を借りるのが通例で、局内ではそういう協力者を『コーディネーター』と呼んでいます。ただ、そのコーディネーターには素性の怪しい人がかなり紛れ込んでいるのは、以前から疑われていたことなんですよ。問題のあるなしを見分けるのは難しいんですが、本当はもっと精査しないといけないんですよね」

 テレ東は近年、『Youは何しに日本へ?』『家、ついて行ってイイですか?』など一般人参加の番組でのヒットが多いが、これも実のところ予算不足の苦肉の策だった。そこで重宝するのが人材集めのコーディネーターだが、素性不明なまま使われることが多いのは「正直、精査しないほうが、問題があったとき局も『知らなかった』で済ますことができるから」とプロデューサー。結果、怪しいコーディネーターが増えているわけだ。

 統一教会の場合、信者であることを隠して宣教活動をするスタイルで知られるため、コーディネーター自身が教会の信者であっても、それを明かさず仕事をしている可能性はある。

 いずれにせよ、統一教会は過去、日本で霊感商法による大量の被害を生んだことがあるカルト団体であり、連絡会が行動に出たのも当然だ。世界190カ国で約300万人の信者がいるとされるが、日本では1987年以来、約3万4,000件もの被害報告があり、被害総額は約1,200億円にも上るといわれる。

 92年には、歌手の桜田淳子が教会の合同結婚式に参加したことで、すべての芸能仕事を失う大騒動となったことが有名だ。その合同結婚式には、ほかに元新体操選手の山崎浩子や、作家の飯星景子も参加。山崎と飯星は後に脱会したが、桜田は教団の広告塔となって韓国で活動を継続していたため、日本の芸能界からは干され続けている。

 問題の番組のコーディネーターが実際に教団関係者だったかどうかはわからないが、プロデューサーによると「過去に、暴力団関係者やマルチ商法の詐欺師だと疑われたコーディネーターもいた」というから、精査されないのをいいことに、潜り込んでいても不思議ではない。

 何しろ一般参加者がテレビ番組で一度でも美談として取り上げられれば、それが後にいろいろな活動に役立つであろうことは想像に難くない。連絡会はBPO(放送倫理・番組向上機構)にも審議を要請しているというが、一般人参加の番組で数字を上げているテレ東にとっては、非常に頭の痛い話だろう。
(文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)

最終更新:2017/06/01 20:36
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