フジテレビ月9『ラヴソング』視聴率0.6%アップと引き換えに“失ったもの”
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フジテレビ月9『ラヴソング』第9話。視聴率は8.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と“微増”しましたが、もはや全話平均の月9史上最低記録更新は免れない感じです。
今回、脚本は第5話と同じ神森万理江さん。そもそも“「フジテレビヤングシナリオ大賞」の倉光泰子さんによるオリジナルストーリー!”という触れ込みで始まった同作ですが、ちょっと話がブレるたびに神森さんが登板してきて、なんだか現場の裏側を垣間見る思いです。まあ、今をときめく三谷幸喜大先生だって『振り返れば奴がいる』(1993)のときに脚本をムチャクチャにされて、その反動で『ラヂオの時間』を書いたということもありましたので、フジテレビではよくあることなのかもしれません。
そんなこんなで第9話、振り返っていきたいと思います。
前回、喉にガンが見つかったことで「吃音なんて、たいしたことないや!」と、第1話に提示されたドラマのモチーフを放り出してしまった同作。案の定、懸案の「結婚式のスピーチ」は、手術で声が残るかどうか、間に合うかどうかの時間軸の問題にすり替わってしまいました。
さくら(藤原さくら)は、気持ち的にもう吃音を乗り越えていますので、このスピーチの成否は脚本家の“神の手”でどうにでもなります。手術を成功させてドモリながらも堂々とした感動のスピーチをさせてもいいし、失敗させて悲嘆にくれさせてもいい。いっそのこと、さくらをガンで殺してしまって、結婚式では録音テープを流すという「草太兄ちゃん方式(@『北の国から』)」でもいいかもしれません。あれ、泣けるよね~。
いずれにしろ、この連ドラのクライマックスになるべきスピーチに主人公の意志や心の機微は一切関係なくなったので、もう藤原さくらに複雑な演技プランは必要ありません。「歌いたい」と「真美に幸せになってほしい」と「手術怖い」だけやっとけばオッケーです。
同様に、空一(菅田将暉)と真美(夏帆)も“親友の声が出なくなる問題”によって、ほかのことがどうでもよくなったので、おのずとテンションの高い芝居だけしていれば成立するシーンが続きます。わりと丁寧にネタ振りされていた空一の“年上女問題”も、真美の“旦那の両親問題”も、あっという間に解決です。
で、これがちょっと、いい方向に出てしまっているように感じたんですね。さくら、空一、真美という幼なじみ3人組の演技合戦が熱を帯びて、見ているだけでジーンとしちゃうんです。登場人物にとっても視聴者にとっても、いろんなことがどうでもよくなっちゃったおかげで、それっぽいセリフが熱っぽくやり取りされていると「いい芝居を見ている」という幸福感だけが伝わってくるようになったんです。結果『ラヴソング』第9話は、ちょっと泣けるんです。
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