ゆうたろうはなぜテレビから愛されるのか? フジ『人気者から学べ そこホメ!? 2時間SP』(5月31日放送)を徹底検証!
#相沢直 #タレント解体新書
たとえば、ゆうたろうの着ている服の話になった際、柴田理恵が口を挟む。「ソデにしょうゆがついちゃう」と心配する柴田に対して「また発想が昭和だな!」とツッコミが起き、笑いが生まれる。あるいは、最近若者の間で話題の写真で顔を入れ替えるアプリが紹介され、岸博幸とゆうたろうの顔が入れ替わった写真は単純に面白いし、ゆうたろうがトシをコーディネートした姿はワクワクさんにそっくりだ。ここでは、ゆうたろうはすでに主役ではない。ゆうたろうが持ってきた材料を使って、共演者が生かされている。
アプリにしてもコーディネートにしても、本人たち発信ではない。本人たちから言いだしてしまったら、それはただのお遊びになってしまう。あくまでもゆうたろうという、ある意味での異物が持ち込んだ材料だから、共演者たちが楽しんでいる姿が視聴者にとって意味のあるものとなる。このようにして、ゆうたろうは共演者を生かす。そしてそのような形で、テレビはゆうたろうを生かしている。ストリートとテレビの融合。2016年、ゆうたろうの存在によって、そんな壮大な実験がひそかに行われているのかもしれない。
【検証結果】
あるいはゆうたろうは、かつてのアイドルであると言うこともできるだろう。まだアイドルが高嶺の花で、一般人と別の世界をアイドルが生きていた時代、アイドルの言葉は常に神秘的だった。ゆうたろうは番組でも好みのタイプを問われた際、戸惑ったように「僕の中でまだ恋愛感情がわかってなくて」と答えるが、それはまさにかつてのアイドルの答えそのものだ。今ほどアイドル文化が消費された時代、アイドルが真っ当にそう答えるのもどこか薄っぺらい。だが、人々はいつの時代でも神秘性を求めている。かつてアイドルが成しえていたことを、ストリートという異界から持ち込んだ存在が、ゆうたろうだといえるのではないか。
(文=相沢直)
●あいざわ・すなお
1980年生まれ。構成作家、ライター。活動歴は構成作家として『テレバイダー』(TOKYO MX)、『モンキーパーマ』(tvkほか)、「水道橋博士のメルマ旬報『みっつ数えろ』連載」など。プロデューサーとして『ホワイトボードTV』『バカリズム THE MOVIE』(TOKYO MX)など。
Twitterアカウントは @aizawaaa
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事