これはホラー? それとも極上のファンタジー? 男の潜在的欲望の扉を叩く『ノック・ノック』
#映画 #パンドラ映画館
ファザコンのベルはエヴァンを相手に疑似近親相姦プレイを求め、ジェネシスはサディスティックにエヴァンを責め立てて興奮する。だが、そんな倒錯した性的嗜好以上に、2人はもっとややこしい神経回路の持ち主でもある。どんなに紳士づらした男も、ハニートラップに簡単にハマってしまうことを熟知しており、そんな男の人生と家庭を叩き壊してしまうことをゲーム感覚で楽しんでいる。でも、その一方で自分たちの罠に引っ掛からず、家庭をいちばん大事にする男に出会うことを願っている。幸せそうな家庭を潰して回る復讐鬼でありながら、いつか本当の“良き父”に出会い、自分たちが救済される日が来ることを待ち望んでいる。あまりにも自己矛盾した存在なのだ。そんな2人のために、オリジナル作『メイクアップ』とは異なるラストをロス監督は用意している。
天使の顔をした悪魔は、悪魔的な魅力を持った天使でもあった。ジェネシスとベルは、罪深き人間どもを審判するために地上へ送られてきた神の遣いなのかもしれない。天使のような笑顔を浮かべた美女たちが心のドアをノックしてきたら、あなたならどうする?
(文=長野辰次)
『ノック・ノック』
製作/イーライ・ロス、キアヌ・リーブス、ニコラス・ロペス、コリーン・キャンプ、ソンドラ・ロック
監督・脚本/イーライ・ロス
出演/キアヌ・リーブス、ロレンツァ・イッツォ、アナ・デ・アルマス、アーロン・バーンズ、イグナシア・アラマンド、ダン・ベイリー、ミーガン・ベイリー、コリーン・キャンプ、オットー
配給/東京テアトル R15 6月11日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
(c)2014 Camp Grey Productions LLC
http://knockknock-movie.jp
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