オバマ大統領の広島訪問に韓国が大反発!「なぜ、われわれの“聖地”には訪問しないのか」
#韓国 #東アジアニュース #河鐘基
オバマ大統領の広島訪問に対して、韓国の一部メディアおよび知識人から非難の声が上がっている。内容として特に多いのは「オバマ大統領はなぜ、韓国人慰霊碑に献花しないのか」というものだ。
駐日本広島総領事ソ・ジャンウン氏は、中央日報に次のように寄稿した。
「(私が)広島に赴任して初めての仕事は、平和記念公園の韓国人慰霊碑に献花することだった。平和記念公園が広島の聖地なら、韓国人慰霊碑は我が同胞にとって聖地だ。オバマ大統領が、我が聖地を訪ねることを期待した(が、かなわなかった)」
一方、CJニュースも「オバマ、広島献花…韓国人慰霊碑は訪問せず」というタイトルの記事を掲載し、オバマ大統領の広島訪問を検証。文中で「オバマ大統領は90分間、平和公園に滞在したが、歩いて2~3分の距離にある韓国人慰霊碑には寄らなかった」と、その行動を非難した。ニュース番組『SBSニュース』も同様の趣旨のコーナーを制作。「17分にわたる演説の後、日本の被爆者代表者と抱擁したオバマ大統領。しかし、そこから200mばかり離れた韓国人慰霊碑に向かうことはありませんでした」と報じた。
メディアや専門家より、さらに辛辣な非難の声を上げているのが、韓国原爆被害者協会の面々だ。同協会の代表団は、オバマ大統領が平和記念公園を訪れた同日に、韓国人慰霊碑前に集合、献花を行った。そして取材陣に対して「日本の被害だけが強調され、植民地の抑圧と被爆という二重の犠牲となった韓国人被爆者の存在は、無関心に放置されている」とアピール。安倍首相にも謝罪するように要求した。
実はオバマ大統領の広島訪問が決まる以前から、韓国ではこの問題が議論の的となっていた。というのも、韓国の立場からすると、オバマ大統領が広島を訪問すれば、日本の被爆国=被害者としての立場が強調され、アジア地域における歴史問題の責任の所在がうやむやになる可能性があったからだ。そのため、広島訪問は米国やオバマ大統領の“独断”ではなく、アジアの国々と歩調を合わせてなされるべきだという意見が根強かった。
なお今回、オバマ大統領は演説で被爆した韓国人犠牲者についても言及。「数十万の日本の男性と女性、子どもたち、数千名の韓国人、数千人のアメリカ人捕虜、彼らの魂が私たちに語りかける」という言い回しで、哀悼の意を送っている。韓国・外交部などはオバマ大統領の発言について前向きに評価しているのだが、一般的には前述したような非難の声が多い状況となっている。
現在、日本や米国の一部メディアからは「レガシー(政治的遺産)作りに必死」「日米同盟強化のためのパフォーマンス」「なんのために来たのかわからない」などと批判されているオバマ大統領の広島訪問だが、韓国やアジア地域からは、また異なった角度からの批判にさらされそうである。
(取材・文=河鐘基)
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