アナーキーで反骨――桂歌丸版『笑点』の“粋”な終い方
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落語界のこともよく知らないくせに、やたら口を出してくるというのが理由だったそうだが、それにしたって、スポンサーを出演者たち自身の判断で降ろしてしまうのだからスゴい。ポピュラーの象徴として日本人の心に深く溶け込んでいるのに、アナーキーで反骨。それこそを、人は“粋”と呼ぶのかもしれない。
歌丸は、先ほどの『笑点』と同じ日の『NHKスペシャル』(NHK総合)の「人生の終(しま)い方」にも出演。進行役を務めつつ、密着取材にも応じている。
腸閉塞で入退院を繰り返し、肺にも病気を抱えている。舞台を降りると、すぐに車いすに乗る。体重も、この1年だけで10キロ減ったという。
それでも、高座に立ち続けている。
「アタクシも人生を終うのは、まだまだ80年ぐらい先ですけれども、まぁ、そのときになって慌ててもいけませんですから、いまから真剣に考え始めているんです」とほほ笑みを浮かべ語る姿には、落語家の矜持があふれ出ている。
歌丸は終わらない。
注目された『笑点』新司会者もCMをまたいだり、必要以上に煽ったりせず、あっさりと発表された。
新司会者は春風亭昇太。発表されるとすかさず、後任に本命視されていた円楽から「いくら使ったんだ?」というツッコミが入った。
その人選は意外性があると同時に、納得感もある見事なものだった。実年齢以上に世代交代を大きく印象付け、これから先、何十年も『笑点』は続いていくんだという強い意志を感じる人事だ。
「ここは?」
と、昇太の席を指して新メンバーは誰になるのかを円楽が問いかけると、歌丸は不敵に笑って答えた。
「あ、そこねえ、アタシが座る(笑)」
歌丸のどこまでも“粋”な終い方だった。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)
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