裏切ったのは一体どっち!? オバマvs凄腕ハッカー 戦いの記録『シチズンフォー スノーデンの暴露』
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伊勢志摩サミットに出席するオバマ大統領が、サミット終了後に広島を訪問することが決まった。米国の現役大統領の被爆地訪問は初となる。任期が残りわずかとなったオバマ大統領としては、広島から平和メッセージを世界へ発することで大統領任期のラストイヤーを美しく飾りたいところだろう。核兵器のない世界を訴えノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領だが、実際には核軍縮はほとんど進まず、今回の広島訪問は大統領引退後に執筆される回顧録のための思い出づくりの観が強い。「チェンジ」を合い言葉にした大統領就任時は多大な期待を寄せられたオバマ政権だが、既成勢力の厚い壁を突き崩すことはできなかった。さらにオバマ人気を支えてきた若い世代も失望させることになったのが、2013年に起きた「スノーデン事件」だった。米国の諜報機関CIA(中央情報局)やNSA(国家安全保障局)でハッカーとしての職務を請け負っていたひとりの青年エドワード・スノーデンの告発によって、オバマ政権は米国内だけでなく世界中の信頼を失った。
スノーデンがNSAから持ち出した極秘資料と共にマスコミに公表した内容は衝撃的だった。インターネットによってグローバル化された現代社会は、NSAによって米国だけでなく世界中が監視下に置かれているということ。また、最新のハッキング技術を誇るNSAは、インターネット上のメールやSNSだけでなく、携帯電話の通信内容、乗車カードの利用履歴、クレジットカードの明細内容まで、世界中の人々を丸裸状態にしている。これらオンライン上の情報を統合すれば、あらゆる人物の行動パターンや交際関係まで、すべて把握することができてしまう。ジョージ・オーウェルのSF小説『1984』で書かれた恐怖の管理社会は、すでに現実のものとなっていたのだ。
NSAによる監視システムは、9.11同時多発テロが起きたブッシュ政権時代に始まったものだが、マイクロソフト、グーグル、ヤフー、フェイスブック、スカイプ、ユーチューブ、アップルなどの大手民間企業のデータもすべて収集されていたことが明らかになった。一般市民のプライバシーを平気で侵害するこの監視システムが、オバマ政権になって解かれることをスノーデンは期待したものの、残念なことにオバマ政権は解除ではなく、監視体制をより強固にする方向に舵を取った。ドローンの軍事利用は、オバマ政権になってますます活発化している。
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