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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 「キレる17歳」世代の、その後
『1982 名前のない世代』著者インタビュー

少年A、ネオむぎ茶、加藤智大、片山祐輔……「キレる17歳」と呼ばれた世代の“その後”

■オタク文化の全盛期

――オタク文化が前面に出てきた時代であったことも、この世代の特徴として挙げられます。その背景には、多くの人間が「14歳」の当事者として『新世紀エヴァンゲリオン』(95年)を見てきたことも関係しそうですね。

佐藤 この世代にとって、秋葉原はひとつのキーワードかもしれません。加藤智大も金川真大も、事件前後には「メイド喫茶」に行っています。00年代になると、オタクたちが、表舞台に登場していくんです。97年に僕が初めて秋葉原に行った時には、マクドナルドと牛丼サンボくらいしか食べるところがなかったのに、どんどんと店も増えていった。同時期に東浩紀の『動物化するポストモダン』(講談社現代新書、01年)や、大塚英志の著作などが話題となり、オタクや「オタク的なもの」が社会で存在感を持った。

――そして、そんなオタクの地位向上は、現在のクールジャパンへとつながっていきます。

佐藤 ただ、『エヴァ』をはじめ、『ドラゴンボール』や『ファイナルファンタジー』など、この世代の代表的なコンテンツが「終わりそこねている」んです。卒業できず、次に進めていない。大人になりきれていないから、終わりそこねて「こじらせている」面はあるでしょう。

――ある意味では、終わらないことを強いられた。

佐藤 そういったコンテンツを作ったのは、僕らの上の世代です。ネットも2ちゃんも。僕らの世代は与えられた世界の中で右往左往するばかりで、当事者になり損ねたんです。

――そんなわれわれの世代と、下の世代とは様子が違うのでしょうか?

佐藤 次の世代というと、SEALDsが特徴的です。いろいろな意味で、彼らの登場は衝撃的でした。僕が20代前半のころは、やはり同世代の『電車男』にあるようにオシャレに四苦八苦していたのに、彼らは自然体な上に、センスがいい。その衝撃は、僕らの世代でないとわからないかもしれません。古谷経衡さんが書いていますが、SEALDsは政治の問題ではなく、文化運動として驚異的なんです。

――彼らの活動の中には、政治運動としてのメッセージだけでなく、洗練されたカルチャーとしての側面もありますね。

佐藤 また、そんな彼らの活動に対して、上の世代が積極的に語りかけようとします。知識人と学生とが政治やカルチャーを通じてつながる中、僕らの世代はその間で「名前のない世代」として孤立している気がするんです。

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