清原被告にぜひ観てほしいドキュメンタリー映画! マイケル・ムーア監督作『世界侵略のススメ』
#映画 #パンドラ映画館
ポルトガルはかつて薬物依存者が全国民の1%を占めるという深刻な事態に陥り、そこで15年前から薬物問題に対する取り組み方を根本的に変えていった。マリファナ、コカイン、覚醒剤とどんな薬物を所持&服用しても罪に問わないことにしたのだ。それまでの薬物を取り締ることに投じていた莫大な予算と労力を、薬物依存症に陥った人を救済することに費やそうという大胆な方向転換。つまり、薬物そのものを禁じるのでなく、薬物に依存してしまう人たちのパーソナルな悩みや苦しみを解決しようというものだ。ポルトガルではこの方向転換によって、薬物依存者数も薬物絡みの犯罪数も大幅に減少したという。ポルトガル人のこの試みを知ったら、清原被告は号泣するんじゃないだろうか。
フランスやポルトガルの他にも、フィンランドの学校は宿題をまったく出さないこと、スロベニアでは大学の授業料は無料なこと、ドイツではナチス時代の歴史授業に力を入れていることなどが紹介されていく。そんな中でとりわけ気になるのは、ノルウェーの刑務所事情だ。この国の刑務所は犯罪者たちに罰を与えるために存在するのではなく、社会復帰を促すための場所として認識されている。受刑者たちは広々とした一軒家、もしくはテレビやシャワー付きの快適な個室を与えられ、明るく楽しそうに刑期を送っている。看守の仕事は受刑者たちを警棒で殴りつけることではなく、もっぱら彼らの話し相手になること。なんという犯罪者天国! それでいて、ノルウェーは世界で最も再犯率が低いという。日本の犯罪者は日本で犯罪を決行するのは、ちょっと考え直したほうがいい。
ノルウェーには死刑制度はなく、最長刑期でも21年と決まっている。でも、殺人事件の被害に遭った遺族たちは、それで納得しているのか。2011年に69人もの犠牲者を出したウトヤ島銃乱射事件で息子を失った父親に、マイケル・ムーアはカメラを向ける。「犯人を殺したいとは思わないか?」という問いに、父親はこう答える。「復讐したいとは思わない。復讐は何の解決にもならないし、恨みが募るだけだよ」。終始穏やかな表情で語る父親だが、言葉のわずかな間合いに愛する者を失ったどうにもならない哀しみが浮かび上がる。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事