【熊本地震】中止・延期が相次いでも……「プロスポーツ」にしかできない支援とは?
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ゴルフやサッカー以外にも、野球界、角界、テニス界など、多くのプロスポーツ選手たちが支援やチャリティーを行っており、その裾野はさらに広がる見通しだ。
選手たちの一部には、自分たちがエールや支援を送ること、また「被災地のために」という気持ちで競技に臨むことが、「本当に被災地の役に立つのか」と自問する声もある。それらは、被災地の状況に真摯に向き合おうと考えているがための悩みだろう。ただ、大久保選手が語るように「どんどんやっていきたい。そういうことぐらいしかできないから」という気持ちが、被災地を勇気づけることは間違いないはずである。
例えば、東日本大震災直後、同年7月に行われた女子サッカーワールドカップを思い出してほしい。優勝を果たした、なでしこジャパンの雄姿は、被災地だけではなく日本中に勇気と力を与えた。また、震災前年の2010年にJ1に昇格し、初年度の成績が14位と振るわなかったベガルタ仙台は、ファンと支え合い、震災後の11年には4位、12年には2位という好成績を残した。その被災地を背負って戦う姿勢や、あきらめない姿に心打たれ、スタジアムで涙を流す人も少なくなかったという。それが復興の原動力のすべてではないにしろ、前向きに生きる勇気を得た人も少なからずいたはずである。メディアへの露出が多く、社会的発信力の強いプロスポーツ界にしかできない支援というのもまた存在するはずである。
なお、スポーツ雑誌「Number」(文藝春秋)が東日本大震災後に集計したレポートがある。同誌はは読者に対して「震災後、あなたがうれしく思ったスポーツ界の出来事は?」という質問を投げかけたのだが、「サッカー、チャリティー試合開催」と「センバツ高校野球開催&被災地からの出場」という項目が、合わせて4割以上を占めた。書き込み欄には「(被災地の高校球児の)全力疾走と懸命のプレーは、ファンのみならず相手チームにも感銘を与えた」「世界が身近でつながっていることに感動した」「自粛がブームになってしまっている今、彼らのひたむきなプレーは観る者に活力を与えてくれると信じています」などのコメントが寄せられている。震災直後の熊本ではまだ難しいかもしれないが、スポーツが人々に力を与えるという点は疑いようもない。今後、選手・観客がともに前に進むことができるような、スポーツによる復興支援の輪が広がることを願うばかりだ。
(取材・文=河鐘基)
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