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新国立競技場の当初計画のデザインを手がけた英国人建築家ザハ・ハディド氏が3月31日に急死したのは驚いた。よほど、この競技場には「呪い」がかかっているのであろう。
ポストで13年、建築界のノーベル賞と呼ばれる米プリッカー賞を受賞した国際的建築の伊藤豊雄(74)氏が「競技場はかならず負の遺産になる」と嘆いているという。
「A案(隈研吾氏の案=筆者注)の設計では、スタンドを覆う屋根は木材とスチールを組み合わせた構造です。木材部分の可燃リスクは消えず、仮に聖火台を天井近くに設置すれば、そのエリアの屋根を外す必要が生じます。またスタンド席近くに置けば、その付近の観客席は取り払わなければならない。いずれにせよ、当初の設計プランから変更せざるを得ない」
12年にザハ・ハディド氏のデザインが、選ばれたことが混乱の始まりだった。伊東氏が続けて言う。
「A案の断面図や平面図を見ると、6本の柱でスタジアムを支える構造や108本の柱、54本の通路、8か所ある地下トイレの位置までザハ案とほぼ同じ。偶然の一致の域を超えており、隈さんのA案はザハ氏のデザインを借用したと言われても仕方のないものです。もちろん、ザハ案の特徴である『キールアーチ』と呼ばれる2本の巨大な鋼鉄製アーチで屋根を支える構造は採用していませんが、専門家の目から見れば、“一皮むけば同じモノ”との印象です」
さらに、木材を多く使っていることでのマイナス面もあるという。
「木材はカビも生えれば変色もします。私が設計に参加したある地方公共団体の建築物は屋内であるにもかかわらず、天井の木材部がわずか半年で変色した。現行のままだと、19年11月に完成したとして五輪が開幕する8か月後には、天井の色が曇天のようなくすんだグレー色に変わってしまうと考えられます。そもそもA案なら、20年位で屋根の総取り換えを迫られる事態も予想されます。その負担については議論されていません」(伊東氏)
A案では競技場の周囲をプラントボックス(育成容器)に植えられた樹木が覆うから、害虫被害に加え、その維持管理にも多額の費用がかかるはずだ。
屋根をはじめとした木材のメンテナンス、樹木管理など競技場全体の維持管理費を合わせると、完成から20年で、建設費と同額程度の費用負担が発生している可能性があると、ポストは言う。
その費用を誰が負担するのかは、議論の俎上にすら載っていないのだ。
「もし、管理が行き届かなければ、2040年頃には、プラントボックスの樹木は荒廃して見る影もなくなり、広大な敷地の中心に灰色に変色した巨大な“廃墟”がポツンと建つ。そんなことも考えられます。このままでは新国立は国民にとって“レガシー”ではなく、負債になりかねないのです。(中略)このままでは国民の間にある“A案で新国立を建てていいの?”といったわだかまりが解消されません。そんな状態で五輪が気持ちよく迎えられるでしょうか。いま必要なのは、JSCの大東和美・理事長なり、遠藤・五輪相なりが、“A案はこれだけ優れているから、大いに期待してください”と国民に胸を張って説明することです。それができないのなら、今一度、A案採用を再撤回するぐらいの覚悟を見せるべきではないでしょうか」(同)
2度あることは3度ある。新国立競技場は「新廃墟」とでも命名したらどうか。
保育所問題が大きな話題になっているが、ポストは国会議員や官僚には超豪華な「専用保育所」があるのはいかがなものかと報じている。
「キッズスクウェア永田町──衆院第二議員会館の地下3階に、そんな文字がドアに書かれた部屋がある。東京都の認証保育所で、総面積は約275平方メートル。屋外には154平方メートルの天然芝の園庭を備え、0歳児(生後57日)から就学前まで定員は34人。午前8時~午後9時まで預けることが可能だ。一般の人が出入りするには、空港にあるような金属探知機のゲートをくぐって厳重な手荷物検査を受けなければならない。おそらく『日本一安全な保育所』といえるだろう。都の補助がある認証保育所は保育料の上限が定められており、3歳児未満が月額8万円、3歳児以上は月額7万7000円となっている。東京都心の認可外保育所の場合、同クラスの設備となると3歳児未満の保育料は月額14万円、3歳児以上でも月額12万円ほどが相場であり、料金的にも半分近い」(ポスト)
もともとは、自民党の橋本聖子議員の出産(00年)をきっかけに超党派の「国会に保育所を!推進議員連盟」が発足して、10年の議員会館建て替えに合わせて実質的な「国会保育園」として開設されたそうだ。
民進党の議員秘書がこう話す。
「山尾(志桜里議員=筆者注)さんは当選2年目の2010年に妊娠、翌年1月に出産すると0歳児の頃から会館内の保育所を利用されていました。子育てにとても熱心で、最初は旧第一議員会館に事務所が割り当てられていましたが、できるだけ赤ちゃんと近いほうがいいからと党に希望して出産前の会館建て替えの際に、保育所のできる新第二議員会館の部屋に移してもらったそうです」
キッズスクウェア永田町は議員専用ではなく、一般からの申し込みも可能だそうだが、入るのはそうとう難しそうだ。官僚たちにも恵まれた保育所がある。
厚生労働省の本庁舎(中央合同庁舎5号館)には、安倍政権の「女性が輝く社会」政策に合わせて14年12月に「ふくろう保育室」がオープンしている。
「定員19人のうち、従業員枠の14人は基本的に厚労省職員の子供を預かります。認可保育所なので、残り5人が千代田区民のお子さんを預かる区民枠になっている。現在は区民枠に1人空きがあります」(厚生労働省福利厚生室)
こちらも、セキュリティは万全だそうだ。
「しかも、認可保育所だから保育料は議員会館の認証保育所よりさらに安い。千代田区の基準では、年収1000万円以下の世帯でも第1子の3歳時の保育料は月額2万2600円、4歳児は1万8000円となっている。(中略)この他にも、霞ヶ関には文部科学省や国土交通省の庁舎内に保育所がある」(同)
第一次安倍内閣の時に文部科学政務官を務めた小渕優子氏も、退任後に同保育室に子どもを預けていたそうである。
「自分たちが利用する保育所がどこよりも充実しているようでは、待機児童ゼロの本気度を疑われても仕方がない」(同)とポストは結んでいる。これでまた「保育園落ちた議員や官僚は死ね!」というブログが増えるだろうな。
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