中国に敵意むき出しなのに、一体なぜ? 米・トランプ大統領候補が中国人に支持されるワケ
#中国 #東アジアニュース #孫向文 #チャイナめった斬り
■トランプに対する報道は一面的?
僕は当初、日本やアメリカの主要メディアから発信される差別的な発言を繰り返すトランプ候補の姿に嫌悪感が生じると同時に、独裁的な政策に強い危険性を感じていました。しかしインターネット発の情報などを閲覧するうちに、トランプ候補の情報は曲解されている面があることを知ったのです。
日米の主要メディアは、トランプ候補が「移民は犯罪者」と発言したとの報道しましたが、実際は「一部の移民」と発言したそうです。ドイツの例を見ればわかるように、洋の東西を問わず、外国からの移民が犯罪者になる確率が高いことは事実であり、僕は移民に対する取り締まりを強化しようというトランプ候補の政策は正論だと思います。
また白人が主な支持層と報道されるトランプ候補ですが、実際は有色人種の中でも支持する層は多く、3月19日にアメリカで開催されたトランプ支持者による集会には、多数の黒人や中国系アメリカ人が参加しました。彼らを「KKK(アメリカの白人至上主義団体)の仲間」などと白人の反差別主義者が揶揄したところ、黒人たちが激怒し、会場はもみ合いで騒然となったそうです。
アメリカの主要メディアは、このニュースを「トランプ支持者は狂信的な差別主義者」というニュアンスで報道したようですが、実はトランプ候補自身は特定の宗教観や差別思想を持たない人物で、反ムスリム政策を唱えているのはあくまでもテロ対策のためのようです。ちなみにこのニュースはトランプ候補の一般的なイメージを崩さないためなのでしょうか、日本では公に報道されていません。
トランプ候補の言動は短絡的かつ扇情的なものばかりで、僕自身は賛同できません。また大勢の前で身体障害者を嘲笑するような仕草を行うなど、人格面にも問題があり、常識的に考えてアメリカ大統領にふさわしい人物ではないでしょう。
しかし、彼の掲げる政策はあくまでもアメリカの経済を活性化させることを第一としたもので、この点が多くのアメリカ国民に支持される要因でしょう。トランプ候補は日本の野党議員のように諸外国に卑屈な姿勢を見せたり、中国の政治家のように自分の利益のみを追求したりせずに、「自国の繁栄」を目標としているのです。
日米の主要メディアからは、「アドルフ・ヒトラーの再来」のようなイメージで報道されるトランプ候補ですが、報道が偏向している可能性が高いと思います。トランプ候補がアメリカにとって「独裁者」となるか「救世主」となるかは不明ですが、僕は彼に対する評価を下すのは、現時点では早計だと思います。
●そん・こうぶん
中華人民共和国浙江省杭州市出身の31歳。中国の表現規制に反発するために執筆活動を続けるプロ漫画家。著書に、『中国のヤバい正体』『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)、『中国人による反中共論』(青林堂)がある。
<https://twitter.com/sun_koubun>
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