中国に敵意むき出しなのに、一体なぜ? 米・トランプ大統領候補が中国人に支持されるワケ
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こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。
2016年に開催されているアメリカ大統領共和党予備選挙において、実業家のドナルド・トランプ氏が各州で高い支持を獲得し、当初の予想に反して大統領選最有力候補に上り詰めています。
「移民排斥」「イスラム教徒の入国禁止」など過激な政策を連呼するトランプ候補に対し、国内外から批判の声が多く上がっています。しかし彼の「アメリカを再び偉大にする」といったナショナリズムを刺激する発言、そして、多額の貿易格差が生じている日本に対し「関税なしで何百万台の車を(アメリカで)売っている」、多くのアメリカ企業が生産拠点としている中国を「雇用と金をかすめとっている」、アメリカ国内に多く存在するメキシコ人労働者を「強姦魔」と呼び、国境沿いに万里の長城を築くと発言するなど、特定の国を敵対視する発言が主に低所得層や保守的な愛国層から支持され、トランプ候補の躍進の原動力になっています。
僕は「アメリカ政府の情報を盗んでいる」「アメリカ国民が飢え死にすることを望んでいる」と、トランプ候補が中国に対し敵意をむき出しにしていることから、当然中国の世論は反トランプ色に染まっていると思ったのですが、実情は意外なものでした。
中国版Twitter「微博」などを閲覧すると、トランプ候補を批判する声も多かったのですが、中国国内でムスリム系のウイグル民族によるテロ事件が頻発していることを受け、「アメリカに移住する予定だが、その前にテロリストどもを撲滅してください」「ISはヒトラー、トランプはチャーチル」などと反ムスリム政策を唱えるトランプ候補を称賛する書き込みも目立ちました。また、現在の中共政府体制に反発する層の中にも支持する声があります。事実、日を追うごとに彼の人気は高まっているようで、微博の「川普粉絲団」というトランプ候補のファンが集うアカウントは、8,000人以上がフォローしていました。
さらに、中国ではカリスマ性を持つ強硬的な指導者が好まれる傾向があります。文化大革命などで無数の人々を死に追いやったにもかかわらず、現在でも毛沢東が多くの中国国民から崇拝されているのはそのためです。微博を閲覧すると「歯に衣着せぬ発言が好きだ」「オバマは気弱すぎる」「トランプは真実を語っている、彼はアメリカのリベラル偽善者どもを叩き潰す」などと、トランプ候補の過激な言動を支持する書き込みが散見されました。
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