「相方は観客」小堺一機が『ごきげんよう』で得たトークの極意
#お笑い #テレビ裏ガイド #てれびのスキマ
小堺が意識を変え、おばさんたちの話を聞くようになったら、番組は一気に軌道に乗り始めたのだ。
「トークが上手くなりたければ『聞き上手』になること」(「SPA!」14年11月18日号)
と小堺は言う。それこそが、『いただきます』と『ごきげんよう』を通じて小堺が得た極意だ。
『ごきげんよう』は、まさに小堺の「聞き上手」な部分を堪能できる番組だった。自分が面白いと思っている部分は、人から見るとそれほど面白くないことが多い。トーク慣れしていない人なら、なおさらだ。『ごきげんよう』には、そんなトーク慣れしていないゲストが数多く出てくる。
そういう人の話で本当に面白いのは、実は自分が面白いと思っていない部分であることが多い。
小堺は、そうした部分が出てきた瞬間、それを聞き逃さず、聞き返す。それこそが、「聞き手」としての小堺のトーク術の真骨頂なのだ。
3月25日放送に登場したキャイ~ンの天野ひろゆきから「関根(勤)さん以外で、もし芸人の中で相方を選ぶとしたら誰がいいですか?」
と問われた小堺は、少し考えた後、こう答えた。
「相方はお客さんだな」
小堺はその言葉を体現するように、観客を「相方」にした30分のひとり語りで『ごきげんよう』は幕を閉じた。
「相方」の反応を全身で聞きながら、軽妙洒脱なトークを展開していく。それはまさに30年以上「聞き手」に徹し、「聞き上手」なトークを回してきた芸人の矜持だった。
湿っぽい話は皆無だった。それゆえに、なんだか一層こみ上げてくるものがあった。これで、80年代のフジテレビの「軽チャー路線」を作った横澤が手がけたレギュラー番組が、ほぼ完全に姿を消すことになる。時代は移り変わっていく。
最後に小堺は、「相方」に向かってこう呼びかけて番組を終えた。
「みなさん、また、ごきげんよう!」
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)
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