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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 小堺が『ごきげんよう』で得たもの
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第121回

「相方は観客」小堺一機が『ごきげんよう』で得たトークの極意

 小堺が意識を変え、おばさんたちの話を聞くようになったら、番組は一気に軌道に乗り始めたのだ。

「トークが上手くなりたければ『聞き上手』になること」(「SPA!」14年11月18日号)

と小堺は言う。それこそが、『いただきます』と『ごきげんよう』を通じて小堺が得た極意だ。

『ごきげんよう』は、まさに小堺の「聞き上手」な部分を堪能できる番組だった。自分が面白いと思っている部分は、人から見るとそれほど面白くないことが多い。トーク慣れしていない人なら、なおさらだ。『ごきげんよう』には、そんなトーク慣れしていないゲストが数多く出てくる。

 そういう人の話で本当に面白いのは、実は自分が面白いと思っていない部分であることが多い。

 小堺は、そうした部分が出てきた瞬間、それを聞き逃さず、聞き返す。それこそが、「聞き手」としての小堺のトーク術の真骨頂なのだ。

 3月25日放送に登場したキャイ~ンの天野ひろゆきから「関根(勤)さん以外で、もし芸人の中で相方を選ぶとしたら誰がいいですか?」

と問われた小堺は、少し考えた後、こう答えた。

「相方はお客さんだな」

 小堺はその言葉を体現するように、観客を「相方」にした30分のひとり語りで『ごきげんよう』は幕を閉じた。

「相方」の反応を全身で聞きながら、軽妙洒脱なトークを展開していく。それはまさに30年以上「聞き手」に徹し、「聞き上手」なトークを回してきた芸人の矜持だった。

 湿っぽい話は皆無だった。それゆえに、なんだか一層こみ上げてくるものがあった。これで、80年代のフジテレビの「軽チャー路線」を作った横澤が手がけたレギュラー番組が、ほぼ完全に姿を消すことになる。時代は移り変わっていく。

 最後に小堺は、「相方」に向かってこう呼びかけて番組を終えた。

「みなさん、また、ごきげんよう!」
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)

「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

最終更新:2019/11/29 17:42
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