日本経済の停滞が“危険なJKビジネス”を横行させた!? 衝撃の一冊『女子高生ビジネスの内幕』
#本 #インタビュー #JKビジネス
──お客さんには、どうやって取材したんですか?
井川 店の前を張って、初めての客を装い、「ここの店入ろうと思うんですけど、どんな感じでした? お勧めの子は?」とか聞いて、一緒に喫茶店に入ったりして話を聞いたりしました。取材って伝えるとものすごく嫌がられたので、身分を隠しつつ(苦笑)。
──取材後に情報を得るなり、継続した本人取材なんかは続けているんですか?
井川 女の子に対しても客に対しても、ほとんど身分を明かさない潜入取材を試みているんです。なので、そこで知り合った取材対象者とは連絡先を交換することは、ほとんどありません。ですが、今回の書籍を書く上で何人かには身分を明かして取材していて、その人たちとは連絡を取り合っているから、今でも常に新しい情報は入ってきていますね。この店は過激に突っ走っているとか、これはヤバいなあとか。『女子高生の裏社会』(光文社新書)の著者・仁藤夢乃さんは、性的被害に遭っている女の子たちと助けようと社会運動もされている方ですけど、私は女の子を保護したり、警察に通報したり、店に注意を促したりなんてことはしません。ただのルポライターなんで、SNSで情報発信したり、雑誌に書くまでが仕事と割り切っています。私の情報を参考にしていただいた上で、JKビジネス関係者なりが対応したり、警察なりNPO団体なりが動いてくれればいいですよね。
──JKビジネスの動向は刻一刻と変化していますが、その報道についてどう思われますか?
井川 とんちんかんな報道が多いですよね。今でも秋葉原がJKビジネスのメッカみたいな感じで報道されることは多いんですけど、先に言ったように今の秋葉原の大半は、18歳以上のJKコスプレです。東京オリンピックが間近に迫っているのに、都内随一の観光スポットである秋葉原にJK店が乱立していたら見栄えが悪いということなんでしょうけど、実態としては、秋葉原よりも問題なのが新宿や池袋のJKコミュ、それに池袋の某お散歩店。そこは裏オプが蔓延しているので。秋葉原にもアンダー(18歳未満)が働くJKカフェはあるけど、そこはせいぜいお茶を飲んだりオセロをするぐらいですからね。JKビジネスが騒がれたことで、ただの秋葉原のメイドすらも白い目で見られるようになっていて、ちょっとかわいそうだなあと思ったりもしますよ。
──本書は日本経済の停滞が、危険なJKビジネスを横行させてしまったという井川さんからの問題提起ですよね?
井川 そうですね。今の日本の閉塞感もあって、働く少女、買う客、経営者と、三者三様に、この日の当たらない世界に寄り集まってきています。JKビジネスの経営者は若い人が多いんですけど、まともに働いても給料も上がらないし、企業に搾取されるだけ。そんな冴えない人生を歩むぐらいなら、JKビジネスで一発当てよう。仮にパクられても労働基準法違反で30万程度の罰金で済む……って考えて、経営者は何度パクられても店を立ち上げるんですよ。取材していて経営者の名前を聞いてみたら「この店って、あのパクられた店長の店だったんだ」ってことは、よくあります。今、JKビジネス界隈には、慶応とか早稲田とかの高学歴の経営者グループがあって、そこがかなりイケイケで、法スレスレで突っ走ったりもしているんですよ。本来だったらそれだけの大学出てたら、大手企業に就職しようって考えるでしょ? でも、今はそういう道に夢が持てなくなっているんでしょうね。実は、私自身も早稲田大学を卒業した後、コンピュータ会社に就職してSEになったんですけど、過酷な仕事に音を上げて、こんな人生は嫌だって思い、ホストクラブ関連やアダルトビデオ、着エロ系グラビアとか、ダークな仕事をやってきたんです。だから、経営者の気持ちもすごくよくわかるというか、ひょっとしたら自分も彼らと同じことやっていたかもしれないと思っちゃうんです。貧困が蔓延している今、JKビジネスは決して私らと隔たれた世界にあるわけじゃなくて、すぐ間近に横たわっているんですよ。自分の娘が小遣い稼ぎに働いちゃうかもしれないし、友人が満たされない思いを抱えつつ客で通っているかもしれないし、ある日、自分がそういう店を立ち上げることになるかもしれないんです。これは日本社会全体の問題なんですよ。
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